第1060回 味わい深い人生を 〜感じる能力を高め〜

 平成25年 5月16日〜

近頃 男性も休日に 家庭でお料理をつくる人が増えているようですが、
男性の料理と 女性の料理の違いについて、こんな話を聞きました。

日頃あまり料理をしていない男性の場合、献立が決まると材料を揃えることに熱心で
調理の途中で、もし不足しているものがあることに気づくと、さあ大変
早速探し求め、その材料が揃わないと 次へ進むことができず
その材料が手に入るまで いつまでも完成しないことがあると 聞きました。

これに対して、日頃から料理をしている女性の場合、材料が足りなくても
さっさと予定を変更して、手早く完成させることが出来るというのです。
材料が不足していれば 代わりのものを使うとか、まったく別の料理を
つくって、待たせることなく、食事が出来るようにするというのです。

これは男性女性の違いというだけではなく 経験が多いか 
少ないかの違いかもしれません。
経験が浅い人は 目標を決めたら それに向かって突き進む、
不足したものがあると 応用が利かず 立ち止まってしまうということでしょう。

毎日毎日 三度三度、食事をつくる経験を積んだ人は、予定の時間に
完成させることが もっとも重要だとの判断で なんとしても完成させる。
経験の薄い人には、レパートリーも少なく、方向転換が出来にくいという
ことなのでしょう。

さて、調理することもそうですが、料理を食べるときにも、違いがあります。
完成したその料理に、あれがあれば もっと良い、これが不足している
あれを足せば もっと美味しいと、研究熱心なのか、こだわりや、
固定観念を持っているのか、なかなか満足しない人があるものです。

人生も この料理の味わい方と同じように どのように味わい
どう感じ取るかの違いではないかと思います。

今、目の前にあるお料理を どう味わっていただくことが出来るか
それによって満足度は大きく変わってきます。
料理の素材や味付けを 自分自身の舌でちゃんと味わい、こんな味もあるのか、
こんな調理法もあるのかと、感動して食べることが出来るか出来ないか。

プロがつくる高級料理と比較したり、子供のころから慣れ親しんだ
味にこだわって、あれが足りない これが多い、味が薄い濃い、辛い、
熱すぎ冷めすぎと、不平不満を抱き、自分の思い通りでなければ
満足できない人がいます。

若い時には、いろいろと挑戦し、冒険し、自分の人生に 色どりを増すように
工夫し、努力することもできましょうが、
年齢を重ねてくると、無いものねだりするのではなく、
今あるものを どう味わうことが出来るか、その力を育てることの方が
喜びにつながって くるのではないでしょうか。

調理してくれた人に対してだけではなく その素材のことを考える力が
育ってくると その料理の味わいも深まってくるものです。

同じように、この私の人生も、他の誰かと比較するのではなく、
経験した数々の出来事、他の人とは大きく違った 数々の歴史、
何と素晴らしい人生であったかと 感じることが出来るようになれば
まるで違った豊かな人生が 湧き出てくるものです。

そうした味わい、感じることが出来る能力が開発されるのは、お聴聞、
仏さまのお話をくり返し聞かせていただくことで、芽生え育てていただけるのです。

南無阿弥陀仏を口に 耳に聞き、自分の人生のすべてを
十分に味わうことが出来る人は 今まで感じていた 当たり前で平凡な人生が、
とんでもなく素晴らしい味わい深い人生であったと変化し感じられてくるものです。

どうか、料理も人生も、その味を 本当の美味しさを間違いなく感じられる、
能力を 受け取っていただきたいものです。

なんと素晴らしい人生、なんと素晴らしい今日一日、なんと素晴らしい仲間たち
なんと素晴らし自然、気づけば どんな大河ドラマの主人公にも増して
波乱万丈の素晴らしい人生であったのかと 喜び味わえる、そんな
南無阿弥陀仏の生活を 送らせていただきたいものです。

妙念寺電話サービス 次回は 523日に新しい内容に変わります。

 

         


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