二河の譬え

妙念寺電話サービス、お電話ありがとうございます。

朝晩はめっきり涼しくなって来ました。

また、日の出が、日に日に遅くなって、暑さ寒さも彼岸までとの言葉が、

今年も聞かれる季節になって来ました。


春と秋の彼岸の中日には、太陽が真東に出て、

真西に沈むといわれます。

そして、その太陽の沈む西の方向に、お浄土があると信じられて来ました。

この世、こちらの岸は、迷い悩みの世界であり。

向こう岸の彼岸は、さとりの世界、理想の世界と一般にいわれます。


親鸞聖人が尊敬された七人の高僧のお一人、

善導大師が、迷信など間違った教えに惑わされないようにと、

二河白道の譬えで導いてくださいました。


旅人が西に向かって、百千里をいくと二つの河が見えてきました。

南側には火の河が、北側には水の河があり、川幅は百歩で、底は無く、

南北に無限に続く河が行き先をふさいでいます。


その火の河と水の河の中間、境目に、広さ、四、五寸、

12〜15センチぐらいの幅の細い白い道が、

こちら側の東から、向こう岸の西につながっています。


長さ百歩ほどのその道には、絶えず炎と水が襲いかかり、

とても渡れそうにはありません。

しかし、振り向くと猛獣や盗賊が、すぐそこまで迫っています。

この旅人は、西に進んで行けば、火の河か水の河に落ち、

死んでしまいそうですし、

河の手前に立ち止まっても、引き返しても、

命を取られる、絶体絶命となってしまいました。


同じことなら西に進もうと決意したとき、

東の岸と西の岸から声が聞こえて来ました。

この譬えは、こちら側の岸は娑婆の世界、西の岸を彼岸、

お浄土に譬えておられます。 そして、東西の声とは、

お釈迦様の教法と阿弥陀如来の本願だといわれます。


大無量寿経には、自分で努力して、さとりをひらくことができない

平凡な人びとを、なんとか迷いの世界から助けようと誓われています。

それには、難しいことが出来る人だけを選びだせば、誰ひとりとして

救われることはない。


家族を持ち、仕事を持ち、精一杯生きている人たちを、

一人残らず、本当の幸せにしょうと、お念仏を与えて

救おうとされたのが阿弥陀如来の願いです。

自分の力では、煩悩にまみれた、火と水とが渦巻く細い道を

渡りきることはできません。

釈尊の教えに従い、お念仏の生活を精一杯させていただくことで、

はじめて、彼岸、お浄土へ往生することが出来ることを、

教えていただいているのです。


そして、生きている間に、すでに仏の仲間にしていただき、

やがて浄土で仏となるのが南無阿弥陀仏の教えです。


秋の彼岸、すでに浄土へ生まれ仏とならた先輩たちのお墓に

お参りしながら、やがて、この私も間違いなくお浄土へ

生まれさせていただき、阿弥陀如来と同じ働きをさせて

いただくことを信じて、南無阿弥陀仏の力強い生活を

させていただきたいものです。

妙念寺電話サービス、お電話ありがとうございました。

次回は、9月25日に新しい内容にかわります。

   ( 平成 9年 9月18日〜 第243回 )