本当の出世は
 
妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
もうすぐお彼岸ですが、佐賀の22のお寺、
佐賀組では、新聞を年2回、お彼岸に発行しています。
 
その中に仏教のことばというコーナーがあり、
今回は 「出世」 という仏教の言葉の解説がされています。
 
最近、銀行や証券会社などと大蔵省の官僚との癒着が
世間を賑わわせています。
東京大学から大蔵省へ入省した大蔵官僚というのは
エリートの中のエリートであり、いわば出世を
絵に描いたような存在でしょう。
 
しかし、平気で不正を行うその姿からは、
人間として備えておくべき基本的な資質が全く感じられません。
 
現在社会の一般的な通念として、いい高校、いい大学、
いい会社へと入れば、幸せになれるという考え方が、
いまだに根強く残っているようです。
 
世の中に出て、立派な地位・身分となること、
すなわち出世することが、あたかも人生の目的であるかのような
錯覚が私たちの間にあるのではないでしょうか。
 
しかし、立派な地位・身分にある人が、
必ずしも立派な人ではなく、幸せな人でもないことは、
政治家や官僚の不正を例にあげるまでもなく、大人であれば、
ほとんどの人が気づいていることです。
 
仏教では、仏が衆生救済のためにこの世に生まれ出ること、
あるいは世を捨てて仏道にはいることを出世というのです。
 
大無量寿経の中には、如来がこの世に生まれ出て、
教えを説かれるのは、衆生を救い、まことの利益をめぐみ、
ほどこしたいというお気持ちからであると書かれています。
 
正信偈の 「如来所以興出世 唯説弥陀本願海」
(お釈迦様がこの世に生まれ出られたわけは、
 ひとえに弥陀の本願を説くためであった)とあります。
 
仏教の本来の意味から言えば、出世した人は、
仏に代わって衆生救済のために、私心を捨てて仏道を
広めるために努めなければならないというのであります。
 
出世、世の中に出て、立派な地位・身分につくことの本当の意味を、
今一度かみしめたいものです。
 
と佐賀組の新聞の記事には、
仏教の言葉である出世の解説の文章が掲載されています。
 
この世に人間として生まれて来た目的は、意味は、
仏道に出会い、人間らしい本当の人生を送らせていただくことであり、
やがて、命終わって、仏様の仲間に入れていただき、
仏様と同じ徹底した衆生救済出来ること、
これこそが本当の出世であり、
喜びであるという人生を送らせていただくことだと思います。
 
ただ南無阿弥陀仏のお念仏を口にしながらの
報恩感謝の毎日でありたいものです。
 
妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次の回は、3月19日に新しい内容にかわります。
 
 
                      ( 平成10年 3月 12日〜 第268回 )