科学が進歩しても
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京都の中央仏教学院という浄土真宗本願寺派の僧侶を
養成する学校があります。
六年前に、この学校で一年間勉強させていただいたのですが、
現在在学中の学生さんに、話をしてほしいとの依頼があったため、
京都にいってきました。
ちょうど蓮如上人の500回遠忌の最中でもあり、
これを機会にご本山にもお参りしたいと、喜んで出掛けました。
七年前の顕如上人400回忌法要の時と違って、
御影堂の中は、全部椅子席になっており、
そこに全国から集まったご門徒が、御影堂一杯に参拝されて、
これまでに見たことのない不思議な有難い法要でした。
世界の文化遺産に指定されている御影堂は、
この法要が終りしだい屋根瓦の吹き替えが
行われる事になっており、10年がかりでの大修復作業です。
さて、中央仏教学院の方は、ここで学びたい人が
非常に増えたため、新しく講堂が作られ、
昔の講堂は、教室に変わっていました。
学生さんが集団生活で学ぶために、寮が新しく完成し、
200人以上の方々が早朝の勤行から、夕方のお勤めまで、
熱心に学んでいました。
食い入るような目で見つめる、学生さんたちにお話ししたのは、
とかく宗教というと、神秘的で、祈願、占いなどと科学と
馴染まないもののように理解されがちです。
特に、日本の知識人の多くが、近代科学を学んだことから、
そう思うようになったのだろうと、思います。
また、学校の教科書にあった、キリスト教と科学との対立、
天動説をとなえる教会と地動説をとなえる科学者。
天地創造絶対の神に対して、生物は進化しているという
進化論の対立などです。
このことから、仏教でも、2500年前のお釈迦様の教え、
800年前の親鸞聖人の教えが、科学的に進歩した時代には、
もう通用しないものであろうとの、誤った先入観があるようです。
仏教の場合、特に親鸞聖人のお勧めいただくお念仏の教えは、
人間の本質を見つめながら、人間が人間として
最も豊かに生きる道を教えていただいているのであり、
科学が進歩しても、人間の心は、昔も今もほとんど変わりなく、
煩悩に悩まされた私たちです。
そのことに気づき、それをどうコントロールして、
力強く、いきいきとした人生を歩むのか、
そのことを、お念仏で気づかせていただくことだと思います。
頭で考えるより、お念仏を口にすることで、それは味わえてくるもの。
阿弥陀如来の願いにかなった生活こそ人間の本当の幸せに
一致することを、若い人びととともに味わってきました。
妙念寺電話サービス、次回は6月25日に新しい内容に変わります。
( 平成10年 6月18日〜 第282回 )