第385回 かあさんの歌


   平成12年 6月8日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
浄土真宗の本願寺派には、お念仏の安心や、教義に
関する重要事項を審議する、勧学という学者さんが
いらっしゃいます。


山口の深川倫雄先生もそのお一人です。
以前、法供養でこの妙念寺にもお越しいただき
ましたが、佐賀県の基山で、深川先生の大経の
勉強会が毎月行われています。


今月は、勉強会の報恩講ということで、ご法話を
いただきましたが、浄土真宗のお念仏を譬えて、
こんなお話しをしてくださいました。

日本の童謡に「かあさんの歌」というのがあります。

昭和30年代に、うたごえ運動で、全国に広がった
歌ですが、こんな歌詞です。




 かあさんが夜なべをして
(原詩・かあさんは夜なべをして)

 手袋編んでくれた

 “木枯し吹いちゃ冷たかろうて

  せっせと編んだだよ”

 ふるさとの便りは届く

 いろりの匂いがした



  かあさんは麻糸つむぐ

 一日つむぐ

 “おとうは土間で藁打ち仕事

  お前もがんばれよ”

 ふるさとの冬はさみしい

 せめてラジオ聞かせたい 


                             
作詞の窪田聡さんは、高校卒業の時、
進路をめぐって母親と対立したことから、
家を飛び出したといいます。


しかし、お母さんは息子の身を案じて
行方を捜しだし、衣類や、食べ物、
ビタミン剤を送ってくれたといいます。


そうした中から生まれた歌が、この、
かあさんの歌です。


息子のことを案じて、アカギレの手で
編んでくれた手袋、その手袋には、
息子を思う母親の思いがこもっています。


町で売っているようなスマートで奇麗な
手袋ではないかも知れません。


しかし、その手袋にはお金では買えない、
親の思いが、いろりの匂いとともに
こもっています。


その思いを味わえるか、味わえないか。

私が口にするお念仏にも、阿弥陀様の
願いがこもっています。


その思いが、味わえるか味わえないか。


「 木枯らし吹いちゃ冷たかろうて、せっせと
  編んだだよ・・・ 」 との母親の言葉を、
そのまま口にするように、南無阿弥陀仏の
お念仏も、私の言葉ではなく阿弥陀様の言葉を
そのまま私が口にさせていただいているのです。


親の願いが、阿弥陀様の思いが、味わえ喜べる
毎日でありたいものです。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、6月15日に新しい内容に変わります。



かあさんの歌の歌詞

三、かあさんのあかぎれ痛い

  生味噌をすりこむ

  “根雪もとけりゃもうすぐ春だで

   畑がまってるよ”

    小川のせせらぎが聞こえる

  懐かしさがしみとおる

         窪田聡 作詞作曲

   日本のうた ふるさとのうた100曲
    株式会社講談社 発行 参照