第511回 鉄砲の反対

 平成14年 11月7日〜


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
東京の武蔵野女子大学の本多静芳先生が、「いのち、見えるとき」という
本を出版され、送っていただきました。


その中にこんなところがありました。

2年ほど前のことだそうですが、日本人の子供と外国人の子供を
比較した、TVのクイズ番組でのことです。


「あなたのお母さんの好きなところはどこですか」という質問を
したところ、日本の子供たちの答えは、「カレーライスを作って
くれること」とか「ゲームソフトを買ってくれること」など、自分に
とって都合の良いこと、自分が満たされることをしてくれる
お母さんが好きだとの返事だったといいます。


ところが、同じ質問をアフリカのケニヤの子供たちに聞くと、
二番目に多かったのが「学校に行かせてくれること」というもの
だったそうです。


日本の数十年前のことを思い出します。
それでは一番多かった答えは何かというと、
「私を生んでくださったこと」というものだったといいます。


この答えに考えさせられます。
学校へ行かせてくれるのも当たり前、朝ごはんを作って
くれるのも当たり前、お小遣いをくれるのも、生んでくれた
のも当たり前だと思っている私たちに、「お母さんの一番
好きなところ」を「私を生んでくださったこと」と聞かされると、
自分自身の生きる姿勢について、問い直しさせられます。



三帰依文に、「人身受け難し、今すでに受く」とありますが、
人間として、この世にわが身をいただくということは、めったにない
機会であるが、今私は生まれることが出来たという言葉で、
始まっています。


 ところで、「仏法」を一言でいうとどういうことですか
ということを質問した青年があるといいます。
それに対して、「仏法は鉄砲の反対だ」と答えられた方が
あるといいます。

「鉄砲は人を殺すもの、仏法は死んだ者を生かすもの」
「命終えた遺骸、亡骸を生き返らせるのではなく、
生きていることも知らず、ただ動いているだけのものを、
生き返らせるのだ」と。


ただ世間の常識の上を動いているだけで、本当に生きて
いるとは言えないものを、生き返らせるのが仏法だというのです。


一度限りのこの人生を、生かされていることを実感出来る生活、
それはお念仏の生活しか気づかないものです。


南无阿弥陀仏のお念仏とともに、人間らしい毎日を
送らせていただきたいものです。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、11月14日に新しい内容に変わります。

  仏法は鉄砲の反対

  高光大船(1879〜1951)真宗大谷派僧侶
  北陸金沢地方で大活躍された方
  弥生書房から、全五巻の全集出版