第524回 何を聞くのか

平成15年 2月6日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

仏教壮年会や仏教婦人会の活動の中で、
いろいろの方をご講師に招き、お話を聞く
機会があります。


お寺になかなかご縁が無かった方に、分かりやすく、
やさしい話を聞いていただこうと、ご住職だけではなく、
一般のご講師をお願いすることもあります。


多くの方が関心を持つ人に、是非お話し
いただこうと、探しますが、どんな方がいいのか、
世話役の方々の意見が分かれるものです。


そして、いろいろの境遇の中で力強く生きて
おいでの方の話が、いいのではないかとの
意見が多数となります。


浄土真宗の生活信条のように、常に我が身を
返りみて、強く明るく生き抜いている方のお話しを
聞かせていただこうとの意見です。


それというのは、浄土真宗の念仏者である
妙好人は、想像も出来ない苦難に耐え抜き、
その苦難を見事に乗り切っていかれた方々です。

ある方は、子供に先立たれ、ある方は健康を
害して不自由な身体で、失望せず心豊かな
生活をされ、私たちが、とても真似が出来ない
ような強さで、人生を送られた素晴らしい方々です。


 それに比べてこの私は、ほんの小さな出来事に
出会っても、すぐに失望し、自信をなくし、なかなか
思うように前へ進むことが出来ないものです。


力の限り生き抜くことが大事だと知りながら、
立ち上がる元気も余裕もありません。


 ところで、一般の仏教や、世間では
「成せば成る成さねばならぬ、さあ頑張ろう」と、
苦難に向かっていくことが大事だと励まして
いただきます。


そうだ、そうだその通りだと、よくはわかって
いるものの、なかなか動けないのが私たちなのです。


 そのどうしようもないこの私に、勇気と希望を
与えていただくのがお念仏なのです。


努力しようとしても、頑張ろうとしても、
もう進む力を無くした人に、元気を与えて
いただくのが南无阿弥陀仏なのです。


妙好人の方々は、本人が努力したという
思いより、お念仏に動かされ、お念仏とともに
歩ませていただきましたと味わわれた方々です。


お念仏を口にし、阿弥陀さまの働きを聞かせて
いただき、泣きながら苦しみながらも、
阿弥陀如来の呼びかけに勇気づけられ、
無我夢中に生きていかれた方々です。


浄土真宗の特徴は、自分の力ではどうする
ことも出来ないこの私に、南无阿弥陀仏とともに、
生きる力を与えていただく教えです。


お念仏に出会い、もう仏の仲間であると
聞かせていただくと、自分の事ばかり考え、
自己中心であることに気づき、周りの人びとへも
心を配り、一緒に生きる力が沸きおこるものです。


これが、浄土真宗の教えであり、それを聞かせて
いただき、転じられていくのがお聴聞なのです。

南无阿弥陀仏の働きなのです。

妙念寺電話サービスお電話ありがとう
ございました。
次回は、2月13日に新しい内容に変わります。