第588回 仏教というものは

 平成16年 4月29日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

高校生のための仏教講座というものが、西本願寺発行の新聞、
本願寺新報にありました。


その一部をご紹介します。

宗教と言えば、多くの人は、神さまや仏さまにお願いするものだと
思っているようですが、本来の仏教は、自分の望みを叶えてもらう
ようなお願いする宗教とは全く違います。


仏教とは「仏の教え」と書きます。
「仏」とは、仏陀という言葉を省略したもので、「さとった者」
「真実に目覚めた者」のことです。
ですから、第一に仏教とは「仏(さとった者・真実に目覚めた者)の
教えです。


では、「真実に目覚めた者」とは、誰のことでしょう。

 具体的に言えば、釈尊のことです。歴史上の人物で、真実に目覚め、
その内容を言葉として説かれた人が、釈尊なのです。
ですから、仏教とは、「釈尊の教え」と言うこともできます。
ただし、仏教は釈尊が創り出したものではなく、釈尊は真実に目覚め、
それを言葉として説いただけなのです。


また、仏の教えを聞いた者が、真実に目覚め、仏に成るわけですから、
第二に、仏教とは「仏(真実に目覚めた者)に成る教え」であると言えます。


私たちは、仏の教えを通して自分自身をみつめ、本当の人間として
生きる道を求めていくことが大切です。
それが、仏に成ることを目指すということなのです。


「この世には神も仏もあるものか」と、神と仏を混同して使われることも
ありますが、神と仏は全く違います。
神と言っても様々な神がおられ一概には言えませんが、私たちの身近な
ものとしては「日本の神」と「キリスト教の神」が挙げられます。


「日本の神」は、人間を超越した力を持っていて、人間に幸福を与えたり、
また一方では禍をあたえたりすると考えられているので、もとは自然崇拝的な
ものが中心でした。
そのほか、天照大神など日本神話に登場する人格的な神や、先祖を神と
するものなどがあり、これらが複雑に混ざり合ったりしていますが、要するに、
祈願の対象として人間の願いを叶えてもらうための神であると言えます。


「キリスト教の神」は、宇宙を創造し支配する全知全能の絶対者であると
言われています。
つまり、神は、世界と世界の全てのもの、もちろん人間をも創られたのであり、
それらのすべてを支配し、保っていく力を持っておられる方で。


それに対して、仏とは、先に述べた通りです。また、仏は「キリスト教の神」の
ような創造主ではありませんから、仏が人間を創ったのではありません。
キリスト教では、神が人間を創ったわけですから、神と人間との関係は、
異質的なものであり、人間は決して神には成れません。

ところが、仏と人間の関係は、異質的なものではなく、人間もさとれば仏です。
私たちは仏に成ることができるのです。


と書かれています。

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、5月6日に新しい内容に変わります。


  高校生のための仏教講座から   本願寺新報16年4月10日号
       小池秀章師 京都女子中学・高校教諭