第603回 ただ念仏のみぞまこと

 平成16年 8月12日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。

8月6日広島に原爆が、9日長崎に、そして15日終戦記念日、
もう59年前になるといいます。ところが、中国でサッカーの大会が
開かれると、戦争を知らない若い人たちが 日本が過去に犯した
侵略行為に声を大にして、批判しています。


戦犯の人も祭っている靖国神社に、日本の総理大臣が公式に
参拝することで、刺激したこともあるようですが、基本は中国の
反日教育が徹底しているためだとの報道が盛んです。


また中には、中国共産党の一党独裁を維持するためには、共通の
敵が外に必要で、悪辣な日本帝国を共産党が中心になって打ち
破ったのだ。
だから国民は共産党の元、心を一つにして外敵と戦う必要があるとの
教育の結果であるとテレビで発言する人もいます。


ところが、日本の若者たちはそうした過去の経緯をまったく知りません。

昔々、日本は戦争をして負けたのだ。そして今だにアメリカ軍が日本に
駐留している。アメリカは日本を守ってくれていると云う人と、いまだに
占領が続いているという二つの考えがあるものの、自分たちには
関係ないことと日本の若者は無関心にいます。


過去の戦争も多くの日本人は反対したのに、軍部が勝手に起こし、
いやがる国民を戦争に駆り立てたと思い込んでいます。


ところが、当時を知る人びとに聞いてみると、日本をはじめ
アジアの国々は、ヨーロッパやアメリカなどの国々にいじめられており、
反撃しただけである。
アジアの人びとを助けようとしただけであると、思い込んで国民全体が
旗をふり提灯行列をして、戦争に積極的に参加したのだと、悔しそうに
おっしゃる方もあります。


日本のあやまちは、誰か一部の悪い人達の責任だけではなく、
国民全体が知らず知らずにサッカーの試合を応援するように、
戦争を支持し応援したのだと云います。


現代でも私たちは、周りの言葉に引きずられ、深く物事を考えず、
自分自身を見失っているようです。


歎異抄の中に、親鸞聖人が「火宅無常の世界は、よろづのこと、
みなもつてそらごとたはごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞ
まことにておはします」と仰せであったとありますが、この言葉を
しっかりと味わいたいものです。


この世に理想の世界が出来る、人間が努力さえすれば素晴らしい世界が
出来ると思い込んで、ただひたすらに走る人びとと、お浄土という理想の
世界をちゃんと味わい、すこしでもその理想に近付く努力をするのとでは
大きな違いがあるようです。


成せば成ると、無鉄砲に走る生活と違って、本当の理想の世界を味わい、
その方向にお念仏を口にして進む生活、それが念仏者の良識ある生活
だと思います。


世間に流されることなく、お念仏を聞きながらお聴聞しながら、阿弥陀さまの
願いにかなった毎日を歩ませていただきたいものです。


お念仏の人は、真実を見る、真実を知る智慧が与えられるのだと思います。

妙念寺電話サービスお電話ありがとございます。次回は、8月19日に
新しい内容に変わります。