第614回 おまかせ

 平成16年 10月28日〜

妙念寺電話サービスお電話有り難うございます。
ところで、今年は自然災害が多く、台風が10回も本土に上陸し、
新潟では、大きな地震と、自然の力を改めて確認させられました。


私共のお寺でも、正面の門の板戸が引きちぎられてしまいました。
7月の台風で一度剥ぎ取られ、やっと作り直したばかりなのに、
また飛ばされてしまいました。


そればかりではなく、本堂の屋根の丸い瓦が数枚めくれてしまいました。
押さえの瓦ですので、すぐ雨漏りがするところではないようですが、
強い雨では、別の場所から雨漏りの音が聞こえます。

全体的に見直してもらわないといけないなと思っています。

 朝早くのTVで、台風は九州の南の海上へ向かっていることを知り、
大型の台風はもう過ぎ去っていると、予定通り午前中、お参りしました。
ところが帰ってみると、山門の板戸が裂けて倒れていますし、破れた瓦が
落ちているのを発見、本堂の屋根瓦がずり落ちているのに気づきました。


 無惨な屋根を見上げながら思いました。

今でこそ天気予報があり、刻々と台風の進行状況や、各地の被害状況を
TVで見ることができます。それを見て、慌てて屋根に登って吹き飛ばされて
ケガをする人のニュースもまた見ます。


しかし、前以て対応しておれば、後は自然に任せる他はないもの。
ところが、現在はあまりにも情報が多いために、その情報に惑わされて
苦しんでいる人が多いのではないかと。


天気予報やTVが無かった昔の人は、事前にやるべきことをやっておれば
後は、平然とその時にやるべき仕事をこなしていたのではないか。


それが今は事前にやるべきことをやらずに、新たな情報に躍らされて、
はらはらドキドキ、一日中TVの前に座って、どうしよう、こうしようと
心配するばかり、ああしておけば良かった、こうすればよかったと、
今更どうすることも出来ないことに、悩み苦しんでいるのではないかと。


前以てやるべきことをやったら、人間の力の及ばないことは、
もう任せるより仕方がありません。


 それが、阿弥陀さまに「まかせる」ということではないかと、思います。

 人生も同じようなもので、日頃からやるべきことをちゃんとやって、
あとはもう仏さまに任せること、人間の力ではどうしようもないことに、
ハラハラドキドキ、仕事が手に着かないのでは、短い人生無駄になるばかり。


何をやっておけばいいのか、いざという時に慌てなくてすむように、日頃から
ちゃあんと聴聞しておくこと、そのことこそがもっとも大事な先輩からの伝承
だったと思います。


 人間の力の及ぶところと、及ばないところ。人間がやるべきことの基本を
押さえておくと、どんなことになっても慌てないですむものです。


日頃からお聴聞し、お念仏を口にする生活の大事さを、伝えてきたのだと
思います。


台風の被害にあって、お念仏の教えの基本をそのように味会わさせて
いただきました。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、11月4日に新しい内容に変わります。