第624回 お仏飯の担当

平成17年1月 6日~


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
「念仏の声を世界に 子や孫に」という標語があります。

ところが、自分の子供や孫へは、なかなか伝わりにくいもので、
よくお参り下さる方のお子様やお孫さんが、その後ぱったりと
ご縁が無くなることも多いものです。


 次の世代へどう伝えたらよいのか、どうすれば良いのか、なかなか
分りにくいものですが、先日月忌参りで、こんなお祖母ちゃんに
お会いしました。


「ご院主さんおかしいでしょう。真宗はお仏壇にお茶を上げないのは
 知っているんですが、 つい始めてしまいました。」

「そうですね。今まで無かったのに」

「可愛がっていた犬が、先日亡くなりましてネ、幼稚園の孫娘が
 大変がっかりして、元気がないのですよ。
そこで、元気を出すようにと、言ってやったんです。

 『みんなに可愛がられた、モモちゃんだから、きっとおじいちゃんと同じ、
 お浄土へいって、一緒にいるんじゃない。
 心配することはないよ。おじいちゃんと一緒だから』 と」      


「はあー、ありがたいですね」
「次の日から、孫娘はお仏壇へお参りするようになりました。
 でも、朝は忙しいので 長続きはしませんね。
 ふと思い出したんですが、私も子どもの頃お祖母ちゃんに頼まれて、
 お仏飯を上げる役割だったんです。

 お祖母ちゃんはお茶を、私はお仏飯と 一緒に上げていました。
 私の里は禅宗でしたから・・・・」


「そうでしたか」 
「それで、私も孫娘にお仏飯を上げる役を譲ったんです。
 ところが、『私忙しい、お祖母ちゃん頼むね』と、言い出すこともあったんです。
 そこで、私は、お茶も上げることにしました。
 『お祖母ちゃんはお茶があるから、あんたご飯を頼むね。』と
 二つの仕事を作ったんです。」   


「なるほど・・・」

「今朝もお仏飯を手にした孫娘と、お茶を持った私。
 二人でお仏壇へお参りしたんです。 いつまで続くは知れませんが、
 私は子どもの頃、お祖母ちゃんとお参りしたのを忘れることはできません。

 今は時代が違いますから、はたして通用するのかどうか、分かりませんが、
 とにかく 始めてみました。
 あの孫が、お仏飯を通してご縁に会わせていただければ有り難いことですから。

それは有り難いですね」
「ごめんなさいネ。おかしいでしょうが、しばらくお茶を上げさせてください。」

こういうお祖母ちゃんに出会いました。

自分の経験を次へ伝えていくこと、それが最も大事な相続なのではないかと、
思いました。お念仏の声のする後ろ姿で、次の世代は育っていくのでしょう。


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次回は、1月13日に新しい内容に変わります。