第625回 言葉添えて

 
平成17年 1月13日~

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お念仏の声を世界へ子や孫へというものの、自分の子供や孫へ
お念仏を伝えることはなかなか難しいものです。


一人住まいの元気なお祖母ちゃんですが、部屋のあちこちに、
張り紙がしてあります。


「ありがとう」「おかげさまで」「もったいない」。また、柱には、孫の名前とともに
身長を計った印があります。


「お孫さんも大分大きくなられたようですね」
「おかげさまで今年の夏休みに来たときには、上の子は私より大きくなって
おりました。早いものですね。」


「ちゃんと記録をとってあるのですね」
「一緒に住んでいれば、こんなことはしないのでしょうが、離れているので、
ついつい計って印をつけています。」


「この家も私の代でおしまい。あの孫たちが、ここに帰って生活することは
ないでしょうが、せめて、私が生きている間は、あの子たちのふるさとに
なってやろうと。頑張っていますヨ。」


「〇〇さん、宅配便ですー」
「ちょっと失礼しますよ。ーーそこに積んで あるのを、お願いしますね。」
「2個お預かりします。千葉と神奈川ですね。 えーと、明後日お届けします。
毎度ありがとうございます。--」

「失礼しました。」

「お子さんの所へですか」
「柿が大好きで、今年も送ってやります。離れていると、してやれることは
これくらいのもので。」


「送れば、ありがとうお祖母ちゃんの言葉が聞えるもんで、うれしくて」
「お祖母ちゃんは絵も字も上手いのでそれも送って上げればーー」

「えー、実は入れているんですよ。ありがとう、おかげさまが入った言葉とともに。」
「カラスさんありがとう。私のために残してくれてありがとうとか、この赤い柿の葉を、
夏の蝉は知らないだろうねとか、お説教で聞いたことも、書き送っています。


近くに住んでいれば出来ないことでしょうが、離れているからこそ、出来ることが
あるのだと思っています。


そういえば、本願寺の大乗や本願寺新報も、子どもの所に直接送ってもらえば
簡単ですが、私が読んだものを、おすそわけしているんですよ」


「里帰りの時には、お孫さん達もそろってお墓参りなさいますね」
「お墓、お仏壇、お寺、どこでも一緒にいって、出来るだけ、ありがとう、
おかげさま、もったいない、南无阿弥陀仏を口にするようにしては、
しているんですが。どうなることやら。」


 と、明るく笑われるお祖母ちゃん、近くにいると、当たり前になって、
伝えることができないこともあります。
離れて暮らす孫のことを思って、私には何ができるのでしょうか。
私が工夫し、ご縁を作らないと、なかなか一番大事なことは、なかなか
伝わらないのかもしれません。


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次回は、1月19日に新しい内容に変わります。