第630回 念仏に相談

    平成17年 2月 17日〜


  お念仏の人はどう変わるのか、どうゆう生活を送っておられたのか
  妙好人といわれるお念仏を喜ばれた人を 毎月の勉強会では紹介して
  おりますが、 先月につづき 因幡の源左さんの言葉を ご紹介しました。

  その中からいくつかを ご紹介します。

  1、 夫婦喧嘩


  源左が本山参詣の折 汽車の中で 若い夫婦者が 喧嘩をしてゐるので中に入り、
  男の方へかう云つた。 「先方の両親が あんたを信じて 呉れられた嫁だで、
  そがあ想つて 大事にして上げなはれ 」

2、茄 子 苗

  源左が青谷の驛から戻つて来ると、道に茄子苗の間引きしたのを 棄ててゐる。
  源左、「 この茄子苗貰ふてもええかえ」。 「さあさあ ええとも、いらんのを棄てた
  だけえ、 なんぼなつと持つていんなはれ」。
   源左、「 有難いぞいなあ 」 と それを拾つて、道々の家に 「茄子苗はいんらかや
   茄子苗はいんらかや」 と 配って歩いた。

  … 捨てられたナスの苗も 同じ生き物 枯らしてしまうのは偲びがたかった
     ためでしょう。


3、、蜂

  草刈をしてゐると、 蜂がぶんと飛んで来て源左の額を刺した。
  源左、「われにも人を刺す 針があつたかいやあ、さてもさても、ようこそ
  ようこそ 」 。さう云つて そのまま仕事を続けた。

    …自分が周りの人を 刺しても気付かずに生活しています。
      自分が刺されたときに始めてしる 刺された人の痛み。


暑 さ

 或人 「 お爺さん、暑いこつたのう 」。 源左、「 何が暑からあに。暑かつたら
 背にかけるむなああるし、雨が降りや傘はあるし、親様は 何でも ええやあに
  して下さるで、何で小言が言はれようかいなあ」。

    …暑い寒い 痛き 苦しいと不平不満の生活に反省させられます。

5、 禅 宗

 源左は相手の宗旨などかまはずに 仏法の話をしたが、「 うちは禅宗だが 」
 と云ふ人が  あつた時、「 禅宗でも達磨大師の やあに修行はできまいし、
  聞かにや 落ちるけれ、聞かあぞよ 」。


6、監獄の人

 三谷善治氏に、源左 「おらあ、監獄の人を見りや 手を合して拝みますだいな 」 。
  三谷氏 「そりやまた どがな わけだいなあ 」。 源左 「 この源左奴は まつと
 悪い人間で ござんすだけど、おらの身がわりに なつて姿を見せしめして
 ごされるで
 縛られずに 済みますだいな。
 そが思やあ、手を合せて拝まずにや をられませんだがやあ 」



7、 人 殺

  源左、「井関さん、新聞によう出るがのう。人殺し人殺しつて、世の中にや 
  恐ろしいことが あるやあに思つとつたが、人殺しは 外に在るのぢやなあて
  この胸の内に在るでのう 」。

     …新聞TVと世間のことばかり心配していますが、よくよく
       考えると 自分の内面ほど 問題なものはないものです。



8、 掌

  源左は 時々自分の掌を とみこうみして、「親からっもろうた手は、
  つよいもんだのう、いつかな さいかけせんでも ええけのう 」。 
     ※ さいかけ 鍬などの先がけ

      …当たり前と思っていますが、一番身近なところにもっともっと
        感謝していいことがあるようです。


9、 手


 源左さんは 畑仕事が済むと 手を洗つて 押し頂かれました。   


10、法味


   「お爺さん、いつも法味を 味へてええなあ」。
  源左、「 おらの法味ぢやないだけ。 何もお慈悲のお蔭だいなあ。
  之ぢやいけんぞつちゆう 御催促の法味だがやあ」。



11、念仏に相談

  嘗て 源左同行が帰る時、 私の手を しつかり握って、「 こまつた時にや、
  お念仏に
 相談しなされや 」 と 云つてくれました。


  …因幡の源左さんのおっしゃるとおり こまったときはお念仏に相談する
    毎日を遅らせていただきたいものです。

  次回は 2月24日に新しい内容に変わります。