第654回 みんな関わりあって

  平成17年 8月4日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

本願寺新報にこんな特集がありました。
「仏教から あなたに 生きる力 届けます」 というもので、
その一つに

「みんな関わりあって生きている」という文章がありました。

人間は命を恵まれて約10カ月、お母さんの胎内で、安心して
成長してきます。
しかし、「おぎゃあ」と誕生した途端、これまでとは全く違う
ところに放りだされるのですから、赤ちゃんの心は不安で
いっぱいなんだそうです。


 この不安を解消し、安心感を育むことを考えると、母乳で
育てるのが最も良いのは当然のことです。
粉ミルクに頼らざるを得ないとしても、愛情を込めてしっかりと
抱きしめ、温かい言葉をかけながらゆっくり飲ませることが大切です。

 また、大人の感覚では暗く静かな所が眠りやすいように思いますが、
実際はにぎやかな車の中で、それもシートベルトで自由を拘束した
方がぐっすり眠ることをご存じでしょう。
胎内での状態に近いから安心できるようです。

目が見えるようになったら、こちらの目をじーっと見る時期があります。


動物の本能です。
相手が自分を食い殺す恐ろしい敵か、それとも心を許していい
優しい仲間なのかを、読み取ろうとするのです。

この時、周囲の大人たちが愛情いっぱいの態度で接しているならば、
その子は
 「自分は優しい人の≪群れ≫の中にいる!」

と確信し、生きる意欲・学習意欲がわいてくるのです。

そしてこういう心は、3歳ごろまでに出来上がると言われています。
この逆に、無視されたり、冷たい言葉や刺すような目でにらまれていたら、
身体の成長も生きる意欲・学習意欲もすっかり萎え、社会に適応しにくく
なってしまいます。
情緒障害児の多くがこのような環境の中で育っています。


 戦後の急激な発展の中で、日本中が育児を軽く考えた時期が
あったようです。
30年ほど前にさまざま形で青少年問題が頻発したのは、
その結果だったように思われます。


 当時は気付きませんでしたが、青少年たちはどうしても解消できない
不安を、さまざまな形で訴えていたようです。
そして今日、社会に適応できないまま大人になった者が、さまざまな
事件を引き起こしています。通り魔、幼児誘拐、監禁、殺人、
ネグレクト(養育放棄)、幼児虐待等々です。



  諸法無我、訳したら「どんなもの(=諸法)も、単独で成り立って
いるもの(=我)は無い」となります。
すべてのものは、関わりがあって存在する、縁(=条件)によって
起こるという意味です。


 子どもたちに関わりあっていきたいという思いから、2年前、
京都府綾部市に情緒障害児短期治療施設「るんびに学園」を
開園させていただきました。
大勢の皆さまの真心が結晶した施設で、29人の子どもが順調に快復、
それがまた職員たちの励みになっています。・・・・

「仏教から あなたに 生きる力 届けます」
幼児の時の関わりについて興味深いお話です。

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、8月11日に新しい内容に変わります。

         るんびに苑理事長 藤大慶師著
      本願寺新報より