第672回  私を動かす 言葉

 平成17年 12月 8日 〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

お念仏のお話をした後、よく、「つまるところ感謝することですね。」 と、
簡単に まとめていただく方があります。 


しかし、素直にそうですねと、あいづちを打つことが出来ません。
感謝という言葉には、有り難いと喜ぶ心はあるものの、そこに留まって
しまうようにも思えます。


満足し立ち止まり、次への行動が伴わないようにも感じられます。
お念仏の人は、感謝で終わるのではなく、後に続くものがあるように感じます。

親鸞聖人は、つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の廻向あり。
一つには往相、二つには還相なり。と教えていただいています。

廻向は、ただ往くだけではなく、還えり働くことを、強調しておられます。

ご和讚の恩徳讃には、身を粉にしても、骨をくだきても謝すべしと、
ただ喜ぶことに留まらず、報恩の行動が伴うことが、読まれています。


その行動とは、南無阿弥陀仏と報恩の思いを口にすることが
最も尊いことだと思います。


お念仏を口にすることであれば、例え病気で寝ていても、忙しく仕事を
しているときでも、歩いていても、お風呂の中でも、誰でもいつでも出来ることです。


 夜の連続TVドラマで、ドンマイという懐かしい言葉を聞きました。
失敗し慌てている時も、辛く苦しく呆然としているときも、誰かがドンマイと
いってくれる言葉を聞けば、勇気が出てくるものです。


自分でドンマイと口にしても、誰かのドンマイを聞いても、気を取り直して
元気に次へ進むことが出来るように、南無阿弥陀仏の言葉は、この私に
勇気と安らぎと、喜びを与えてくれるものだと思います。


私のことを、誰よりも心配し、誰よりも理解して見守っていただく方、
いつも一緒に励まし勇気づけ、私が進むべき方向を指し示してくださる方、
それが阿弥陀さまであり、南無阿弥陀仏であろうと思います。


南無阿弥陀仏は、感謝の味わいに加えて、次へ進む力を与えていただくものだと
思います。
さあ、立ち止まらずもう一歩進もう、喜びながら、もう一歩前に、お浄土の方向へ。


こっちだよと呼びかけの言葉、力強く背中を押して励ましていただく温かい言葉です。

南無阿弥陀仏は、私の耳から入って、全身に力を蘇らせる大きな力を持っています。
こころに浸透し、喜びをみなぎらせる働きがあります。

そして、私の口を動かし、いきいきと喜びのうちに、しらずしらずにこの身体を
動かさしていただく、大きな大きな働きがある言葉なのです。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、12月15日に新しい内容に変わります。