第682回 来迎は諸行往生にあり

 平成18年 2月 16日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
こんな文章に出会いました。
平野修師のご本の一節です。

親鸞聖人が非常に大事にされたことに 「来迎は諸行往生にあり」と
いう言葉があります。

これは 浄土の真宗というのを受け止めて、死後に関係する問題だと
受け止めたときに出てくる言葉です。

命終のとき 仏さまが 迎えにいらっしゃるというのです。
今日でも、浄土真宗というと死後の世界だとしてしまうむきがあります。

これはもう 江戸時代からずっとそういう流れがあるわけです。

 この現世は、昔の言葉でいうと、朝恩、朝廷の恩で成り立っている。
それに対して、死後は仏恩だとして、仏さまの問題は死後の問題だと
いうとらえ方が 江戸時代ころから色濃く出てきます。

それが今までずっと来ているのです。
神社は現在であり、この世のことであって、お寺は死後のことだと
いうふうに、実にうまく使い分けている。

 だから今でも行事はみんなそうです。
年の初めを祝う初詣は神社で、民俗学的に言えば、正月三が日は
だいたいお寺へは遠慮して行かない。

お祭りは生産・収穫に関することですから、神社に関係します。
子供の成長についても七五三というのが あって、神社です。

それから厄を払い除けて健やかにこの世を生きていこうというのも
神社に関係してきます。

お寺はいつ関係するのかというと、どう考えても、死としか関係しない。
年忌法事、あるいはお葬式でしょう。
だから、仏教といえば死後に関係することだという理解が圧倒的に多数です。


同じような受け止め方は、親鸞聖人の時代にも,蓮如上人の時代にも、
ずっとあったわけです。
そういう受け止めを表して、「来迎は諸行往生にあり」と言われた。

この諸行往生という言葉で表していることは、真宗以外の宗派に
おいては死後をいうかも知れないけれど浄土の真宗は それは
言わないのだということです。


この言葉は,親鸞聖人のお手紙の中にまず出てきまして、それを
覚如上人も、存覚上人も蓮如上人も受け継がれて、真宗を表す
大事な言葉の一つなのです。

来迎をたのむ、つまり仏教というものを死後に関係するものだと
考えるのは、これは他宗である。真宗は来迎をたのまないのだと
「来迎は諸行往生にあり」という、その諸行というのは、
念仏以外の行を諸行というわけです。・・・・・・・

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次回は 2月23日に 新しい内容に変わります。


      138ページ 平生業成 
     法蔵館 「真宗の教相」 平野修著より