第693回 足元にある

     平成18年5月4日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。

お参りしたお宅で、五十年間交通事故の無事故無違反の表彰状が、
新しく飾ってあるのを見つけました。


十八歳に免許を取ってから50年間、一度も事故を起こしたこともなく、
違反で捕まったこともないという大工さんのお宅でのことです。


トラックや乗用車と乗り換え、仕事の場所への往復に運転されており、
「よくまあ一回も事故を起こさないとは大変慎重な方ですね。」と申しましたら、
授章式には他に十人以上の方が来ておかれたとのこと、「そう珍しいことでは
ないのではないですか。」と奥さんはおっしゃっていました。


 お仕事は大工さんですから、寸法を図ること、切ったり刻んだり、
打ち付けたり、組み合わせたり、慎重の上にも慎重に仕事をすることを
若いときから教えられ、実行してこられたためなのでしょう。


ひとつひとつの工程が取り返しのつかないことばかり、後になって
しまったと思ってももう遅いのです。
確かめ確かめ何度も念には念をいれて、仕事をしておいでなのだろうと、
感心しました。


そして、仕事の一部である運転でも、事故や違反を犯さないように、注意を
されたのだろうと感じました。


同じお座敷には、今月のことばが掛けられていました。

お寺からお渡ししたカレンダーの言葉ですが、五月は、
「浄土への道は 彼方ではなく 私の足元にある」 と里見淳英さんの
言葉が書かれていました。


遠い将来や明日のことだけを考えて生活するのではなく、今この場所の
足元の一歩一歩を着実に踏み締めて歩いていくことが、お浄土へ通じる道である。


どこか違ったところを探すのではなく、この道を、自分の足元をちゃあーんと
見ながらの人生を歩ませていただくことが重要だと教えていただいています。


つい急いでスピードを出し過ぎたり、このぐらいで大丈夫だろうと、気を許して
事故を起こしたりしないように、毎日の生活もしっかりと自分の足元を見つめながら、
お念仏とともに豊かな生活を送らせていただきたいものです。     


じっくりと見つめる生活を始めてみると、いろいろと大きな発見があることでしょう。

お念仏にであうと、いろいろのことが見えてきて喜びもなお一層、多い人生へと
転じられるのだろうと思います。


妙念寺電話サービス、お電話ありがとうございました。
次回は、5月11日に新しい内容にかわります。