第710回 GNPより GNH

 平成18年8月31日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

GNPよりGNHという文章を読みました。

GNP(国民総生産)より GNH(国民総幸福)こそが大事ということです。

GNHの Hは、ハピネス、幸せという事だそうで、中国とインドに囲まれた、
ブータンの国王が、国際会議で提唱した言葉だそうです。ブータンは九州ほどの面積に、
七十万人が住む、世界で唯一大乗仏教を国教としている国ということで、そこを
訪問された記録を読みました。 



 どれほど経済的に豊かであるかを示す、GNPが国を評価する基準になっていますが、
経済が豊かであることが、そのまま人間の幸せにつながらないものです。


 仏教では人は死ぬと生まれ変わると教えています。
私たちはこの人間の世界に生まれてきた、そして死ねばまた生まれ変わりその果てしない
生まれ変わりの世界をめぐっているのが私であると教えています。


どのような境涯に生まれ変わるかは今の私の行いによると説きますが、ブータンの人びとは 
人間は死んだらそれでおしまいとは思わずに生まれ変わる、つまりより良き来世のために
今を生きているのです


人に施しをすることができるのは喜ばしいこと、それは私の未来がより良くなることである
というお釈迦さまの教えを信じているのです。


そのせいかブータンの人びとは総じて親切で、人と人とのつながりを大切に生きている
ように見受けられたということです。


訪問を終わり、帰国する際に要らなくなった物を案内してくれたガイドにあげようとしたところ、
その中の蚊取り線香を指さして 「私たちはこうした物は使いません」と、そう言えばガイドさんは
バスの中にハエが飛ぶ込んで来ても、窓を開けて追い出すだけで、決して叩かなかった
ということです。


無益な殺生を嫌うのもブータンの人びとの特徴です。

 今、仏教を知らない日本では、人は死ねばそれでおしまいと思い、未来に対する希望がない。

人にみつかりさえしなければかまわないと、面白半分に友達をいじめる。
どうせ死んだらおしまい、せいぜい楽しく暮らさなけりゃ損と、人の困ることはおかまいなしで
金儲けに走る、こうした、経済優先に生きることの弊害は数えあげればきりがありません。


しかし仏教の教えに、出会うことで人生は変わってくるのだと思います。
どうぞ、経済的な豊かさだけに走らず、お念仏の教えに出会って、精神的豊かさを、
真の喜びを取り戻していただきたいものです。


それには、お聴聞するのが、最も近道です。

南无阿弥陀仏の生活こそ、国民総幸福を高める教えであろうと思います。



妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、9月7日に新しい内容に変わります。

   本願寺出版社発行  『 伝道 』、2006、No.66    阿部信畿師著 こんな法話あんな法話を
一部引用の上、付け加えさせていただきました。