第719回 今を生きる

 
平成18年 11月2日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

在家仏教協会という仏教の会があり、全国各地で講演会が開かれて
いますが、博多駅前の会場でお話を聞いてきました。


大分県宇佐市のお医者さん田畑正久さんのお話です。

「今を生きる − 豊かな人生とは ー」。という講演です。

先生は若いころからお聴聞を続けられ、仏教的な生き方とは何か、
お念仏の生活とはどういうことかと医療の現場で実践しておいでの方です。


これまで、多くの患者さんと接していて、過去や将来に心を奪われて
生きている人が多く、今を生きている人が、非常に少ないことを感じると
おっしゃいます。


また、宗教心がある人は、難しい病気になったとしてもそれを乗り越えて
いくことが出来る、お釈迦さまが生老病死を越える教えを説かれたことを
実感すると具体的にお話いただきました。


 お話を聞きながら、思いました。

今高等学校で選択科目を履修させなかったことで問題になっていますが、
大学入学試験に合格することだけが目的で、高校生として今一番必要で
あろう倫理や世界史などを学ぶ機会がないということは、将来のために今を
犠牲にしている一つの例かもしれません。


また、度を過ぎたダイエットなども、いまを苦しみ将来ばかりを期待しすぎるの
かもしれないなと思いました。 


仏教は、今を生きること、それが将来にもつながっていく、その今も、
感動的に豊かに生きることが大事だということを、お話になりましたが、
浄土真宗では、特に朝晩のお勤めを大事にします。


それは一日一日区切りを付けていくことが人生を豊かにする一つの
方法だということをお話になり、その例として、あるお医者さんが刑務所を訪ね、
受刑者の状況を研究されたということです。


無期懲役の受刑者と死刑囚とでは、その日常が大きく違うということです。

我々の常識では死刑囚の方が暗い感じがしますが、実はそうではなく、
無期懲役のグループの方が 感動がなく無気力だといいます


但し、午前7時半頃までに死刑執行の通知がくるということで、その時間を
過ぎると、死刑囚の多くは、パッと明るくなるといいます。
今日一日は間違いなく生きることが出来るという感動、喜びがあるのではないかと。


一日一日を精一杯生きる死刑囚、それに比べて今日も明日も永遠に出る
ことの出来ないことで、無気力になってしまう無期懲役の集団。


真宗のおつとめをする人は、一日一日を精一杯生きることが出来るのは、
けじめを付けて、だらだらした毎日ではなく、今日というこの一日を、喜び多く、
豊かに生きていくことが大きく作用しているのだろうということです。


過去にこだわらず、未来ばかりを見ないで、今この瞬間、この瞬間を、
精一杯お念仏とともに生かさせていただきたいものです。


毎日毎日、新しい一日を。

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、11月9日に新しい内容に変わります。