第726回 やはり基礎工事が大事

 
平成18年 12月 21日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

ついに、お寺の直ぐ隣に、マンションが出来ることになり、
基礎工事が始まりました。


9階建のワンルームマンションということで、庫裏の横、細い道路を挟んで、
10メートルほどの所に、大きなコンクリートの杭が埋め込まれています。


一昔前までは、大きなハンマーを打ち下ろして、ドスンドスンと、地震のような
振動がしていましたが、今では、大きなドリルで穴を掘り、そこに直径50センチ
ぐらいの電柱のような杭を埋め込んでいます。


  朝、大きな車の音がするので寝過ごしたかと思っていましたが、まだ外は
真っ暗、明るくなって気づきましたら、キャタビラのついた車が、トレーラーから
降ろされていました。

戦車に長い巨大な大砲を付けたような車と、クレーン車、それにブルドーザーが、
狭い空き地に密集しています。



   次の日、お参りから帰ってみると、本堂の屋根より高い、30メートル近い
大きな柱が、ロケットの発射台のように垂直にそびえ立ち、その柱に沿って
長いドリルが回転し、深い穴を掘っています。


10メートルぐらいのドリルが根元まで掘り進み、それを抜き出します。

クレーン車が電柱のようなコンクリートの杭を吊り上げ、その穴に差し込み、
人間の身長ぐらいの所まで沈めると、中に落ち込んでしまわないように、
ワイヤーをかけ、ブルドーザーで押さえます。


クレーンは、大きく回転して新しいコンクリートの杭を吊り上げ、頭だけ出している
杭の上に上手に乗せ、二本を溶接してつなぎ、20メートルぐらいの長い杭が
出来上がります。

その長い杭を、穴から吊り上げると、またドリルを根元まで入れ込み、今度は垂直の
柱にある、もう一本のドリルとつなぎ、長いドリルにして、どんどん掘り下げ、根元まで
いくとドリルを抜き出し、クレーンで、コンクリートの杭を穴に入れ、その上に新しい杭を置き、
溶接してつなぎ、30メートル近くなった杭を埋め込むという作業を、毎日毎日
繰り返していました。


寝かせたまま溶接して長い杭を作るのではなく、垂直に立てた状態でつないで、
埋めていくのです。


 どうもドリルの先から、高圧の水を出して、土を柔らかくして掘っているようで、
泥んこになって、コンクリート杭やドリルをつないだり、外したりする人たちが
走り回るのに対して、クレーン車には一日中、操縦室の中に座って操作する人もあり。


ブルドーザーを起用に扱って、泥を移動したり、ドリルについた泥をこすり落としたり、
穴の中に杭が落ち込まないよう、重しの役を果たしたり、それぞれがそれぞれの
役割分担をして、杭を埋め込んでいきました。



 この様子を二階から真下に見ていると、寒い中、雨の中、泥の中、大変な作業だ
ということがよくよく分かりました。


そして、二つのことに気づきました。

一つは、それぞれが自分の持ち場をちゃんと守って、騒音の中、手先の合図一つで、
正確に機材や杭を移動させ、つなぎ、切り離し、つなぎ、また切り離し、それぞれに
相手を思いやるチームワークです。


もう一つは、建物が出来上がれば、誰も気づかないものの、その基礎工事は、
建物の高さと同じくらい、掘り下げられていることです。

 私たちの人生も、生活も、こうした基礎工事が大事なのだと思います。

今学校教育だけが重要と思い込まれていますが、それにもまして、子どもの時からの
家庭教育、その根幹は、やはり宗教的な情操教育ではないかと、思いながら、
工事を見守っていました。


高い建物になればなるだけ、より深く確実な基礎が必要であるのだと、味わう毎日でした。

そして、人間は建物と違って、いつも成長していくものです。
植物のように、大きくなれば 大きくなるほどその根をしっかりと張っていくことが大事、
そこに毎日のお念仏が働いていただくのだろうと、思いました。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、12月27日に新しい内容に変わります。