第729回 伝統の有難さ

 
平成19年 1月 11日〜

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浄土真宗で一番大切な法要は、親鸞聖人のご命日、1月16日までの
一週間、親鸞聖人のご苦労を偲ぶご正忌報恩講です。


ご本山では、9日の午後からお勤めが始まっていますが、私どもでは、
この13日、14日の二日間、土曜と日曜日に、お勤めすることにしています。


この法要では、いつもの法要と違って、第三代の覚如上人が示して
いただいた、御伝鈔を拝読し、御絵伝を拝見するのが本来の姿だった
と思われます。


ここ数年は、御絵伝を写真に写し、コンピュータを使ってプロゼクターで
投影して、四幅の御絵伝を拝見していました。そして御伝鈔は、分かり安い
ようにと、現代語訳を中心に紹介していました。


 今年は、やはり原文に触れていただきたいと、御伝鈔を一段ごと拝読した後、
現代語訳を、それに加えて、簡潔な要旨をご紹介して、御絵伝を拝見して
いこうとしています。


 その準備のために御伝鈔を繰り返し拝読し、練習していますが、読めば
読むほど、浄土真宗の基本が落ち度なく、まとめていただいていることに
気づき、有り難く感じるばかりです。


どうも、このところお話の内容が、枝葉末節になりすぎ、基本を忘れていた
のではないかと、反省させられる毎日です。


特に、四幅とも最上段は、阿弥陀さまがこの世に親鸞聖人となって、姿を
現していただいたのだという受け取り方。いつもお側でお世話をしていた
お弟子さんの思い。


親鸞聖人の絵像を描こうとした絵師の証言。
そして、聖人の命を奪おうとした弁円という山伏が念仏者となった事実。

それに最後は、この私が、親鸞聖人こそは、間違いなく阿弥陀様の化身で
あったとの味わいが出来るように構成していただいています。 

これを毎年聞き、拝見していた時代は、間違いなくご信心をいただくことが
出来ただろうと思われます。


それに、信心が肝心か、行が大事かという、信行両座の段や、念仏者が
神社にお参りしていいのかという、平太郎へのご指導など、今でも問題と
なる最も大事なところが、親切に答えていただいています。


その中に、阿弥陀如来は、何としてもこの私を救うために、神の姿になって
現われていただいているとの味わいは、有り難く説得性があるものです。


やはり、伝統ということ、基本ということを忘れずに大事にすることの重要性を
つくづく感じています。


どうすれば、浄土真宗が間違いなく伝わるかと工夫された先輩方のご努力を
改めて有り難く味わわせていただいています。


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次回は、1月18日に新しい内容に変わります。