第810回 いのちに組み込まれた

 平成20年 7月31日〜

妙念寺電話サービス お電話ありがとうございます。

地球温暖化が 進んでいるといわれますが、身にしみて 感じさせられる毎日です。
テレビを見ていると 最高気温が 39度を超えた地方もある という ニュースもあり
人間の体温でも 39度を超すと 朦朧とする状態。

そんな環境の中に長時間いるのだと 思うと  長風呂の後の あの苦しさに近いのだろうと
想像し 驚いています。


ところで 今年は 梅雨明けが 早く 子供たちが夏休みに入る ずっと前から 
カンカン照りの 毎日でした。


九州地方は 例年にくらべて 十数日早い梅雨明けと言われます。
ところが 何時もの夏と違うのは 蝉の声が 一つも聞こえない 静かな朝だということでした。

異常気象は ついに 蝉にまで 影響を 与え 死に絶えたのではないかと心配していましたが、
例年の梅雨明けの 20日過ぎ 一匹 二匹と 鳴き声が聞こえるようになり

月末になると 数知れず 鳴きはじめ 何時ものにぎやかな 朝を迎えるようになりました。

卵として この世に生まれて 五年も七年も 土の中で生きてきて 最後の夏は 長い梅雨が過ぎ 
熱い太陽の光に照らされ始めたころ 暦を見たわけでもないのに 間違いなく 
地上に這い出してくる日を 忘れずに 這い出してくる。それは その年の気候に関係なく 
最初から決められた日に間違いなく
 顔をだすのでしょう。

そして 精一杯鳴き 相手を見つけて 子孫を設けて 1週間程度の地上の生活で 一生を終わる。
その命に組み込まれた システムの正確さに 驚くばかりです。

それは サケなどが 自分の生まれ故郷へちゃんと帰ってくる その 正確さにも驚くことに 
似ています。


これは 昆虫や魚や動物だけにある 自然の摂理ではなく この人間にも 同じような能力が 
あるのでしょうに 中途半端に教育をうけ すこしは 考えることが 出来るようになったために 
その知識にしばられて 自分の中にある 自然のはたらきに 気づくことが少なくなったのだろうと
思えてきました。


体の中にある 人間としての能力を 十分に読み取り 生きていく そうすると 悩みや 苦しみが 
少しは薄れてくるのではないか、それが人間本来の姿であると 納得していけるのではないかとも 
思えます。


その人間としての 本質を 教えていただいているのが お念仏の教え 南無阿弥陀仏ではないかと 
味わっています。


どこから来て どこへ行くのか 何が人間として生まれてきた意味であり 一生を終えることの意味や 
生きがいを ちゃんと教えてくださったのが お釈迦さまであり、善知識であったと思えてきました。


そして

   正像末和讚の 南無阿弥陀仏の回向の 恩徳広大不思議にて
    往相回向の利益には 還相回向に回入せり 

   が 浮かんできました。

 目で見た 少しの情報や 頭で考えた 小さな知恵に左右されることよりも
 体の中にある 私に組み込まれた能力を 読み取りながら生きていく、
 その読み取る力を助けていただくのが 南無阿弥陀仏のお念仏では
 ないかと 思えてなりません。

さあ 蝉に負けずに 南無阿弥陀仏を 口にし 聞きながら 短い一生を
精一杯 生きていきたいと 思います。

妙念寺電話サービス お電話ありがとうございました。
次回は、8月7日に 新しい内容に変わります。

         


           私も一言(伝言板)