第986回 二つのグループ 〜恩に気づく人 気づかない人〜

 
平成23年 12月15日〜

近頃 感じることがあります。
お会いする人々に 二つのタイプがあることを、

一つは 一生懸命勉強して 学校に行き 社会に出て それなりに
成功した人で 何ごとも努力さえすれば 自分の希望が 願いが叶えられると
思っている方々です。

新聞も本も読んでいるし 講演も聞き テレビも見ている 世の中のことで
分からないことは一つもない、みんなわかっている 今さら 仏教の話など

聞く必要はない 僧侶の話などたいしたことはないと
思っておられる方々です。

 もう一方は いろいろのご縁があって お寺にもお参りになり
お聴聞しておられる方々です。

浄土真宗の教えは ご恩の教え 感謝の宗教であると

ご恩、感謝ということで お話ししますと

最初のグループの 自分は何でも分かっていると思っていらっしゃる方々は

「そうですね。今の若い者は感謝ということを 知らないですね。
 お礼も言わない あれほどやってやったのに、気づいていない」と
感謝されることを 思い浮かべる方が多いことです。


一方 お聴聞のご縁のあった方々は 「自分も子どものためにいろいろ
やったつもりだが、今となっては 自分の親の方が もっともっと苦労して
くれていた ご恩を気づかずにきた、申し訳ない」とか


「今あるのは 先輩や仲間のお陰 助けていただきました。」と
 自分が受けた恩を 思い浮かべられる方々です。

学校の教育と社会の経験だけで 仏教のご縁のない方は、誰にも頼らず

自分の力で努力すること それがすべてであり、自分は人一倍頑張って
現在がある。
みんなのためにも頑張った 後は お礼をいただくだけと
自分の行為だけしか 思いつかず 受け取る恩を お返しを 評価を
期待しておられるようです。


仏さまのお話を聞いた人は 自分も努力したが よくよく考えてみると
自分の親や周りの人々が この私のために 気づかないところで一生懸命

頑張ってくれていたことに 始めて気づき有り難い 申し訳ないという
すでに 受けた恩を どう返せばいいのかという、その違いです。


 おかげ様で 学者や芸術家の方々で 一流といわれる方々に
お会いする機会が たびたびありました。

その方々の共通点は 「いくらやっても分からないことが多いですね。
 ほんのちょっと分かっただけで 知らないことの方が多いです」と
 おっしゃる方が多いことです。


一方 中途半端な方は 「何でも知っています 分かっています、
聞いてください」と、自信過剰で 進歩が少ない方が、多いように感じます。

知れば知るほど、努力すれば努力するほど もっと多くのことが見えてきて

多くのはたらきかけに気づかせていただく、これが 仏さまのはたらきかけ
他力ということではないかと 味わいます。

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏は 自分のはたらき以上に 自分の努力以上に

周りの多くの方々が 関係ないと思っているすべてのものが 私のために
はたらきかけ ご苦労いただいていることを 気づかせていただく
有り難い もったいない おかげ様と 喜びを味わわせてくださる
はたらきが あるのです。

妙念寺電話サービス お電話ありがとうございました。
次回は、12月22日に新しい内容に変わります。

         


           私も一言(伝言板)