性病(性行為感染症):特に淋菌・クラミジア /泌尿器科いまりクリニック、佐賀県伊万里市

性病(性行為感染症)は淋菌・クラミディアなどの細菌による炎症で、性行為などの接触によって人から人へとうつります。抗生剤や 抗菌剤で治療すれば普通1-4週間前後で治ります。しかし、相手が治っていないと再度うつりますので、相手も同時に治療しないと、永遠に治りません。日頃診療をしていて、この頃は性病が増えているような印象がいたします。特に、ふつうの職業の方々が気がつかないうちにクラミディアにかかっていることがあるようです。十分注意しましょう。 平成19年の日本泌尿器科学会でのシンポジウムでは、最近の傾向として、淋菌性尿道炎とクラミジア性尿道炎は少し減少傾向にあるが、患者の低年齢化、無症候性患者の増加、感染源や性交形態の多様化、薬剤耐性が問題として挙げられました。(平成16年4月)


淋菌性尿道炎/泌尿器科いまりクリニック、佐賀県伊万里市

症状

性行為後、数日から1,2週で膀胱刺激症状(頻尿、排尿痛、残尿感)、尿混濁、尿道からの排膿などの症状が出ます。尿失禁や血尿をともなうこともあります。微熱(36-37度前後)が出ますが、前立腺や副睾丸に炎症が波及すると高熱(38-40度)が出ますので安静・入院が必要になります。友人、風俗店(オーラルでもうつるぞ)、ソープランド、たまたま出会った行きずりの人などからの感染が多いようです.

女性も場合は感染したはじめの頃は膣内ですのであまり症状がなく、おりものが増えたり、おりものの色やにおいが変化するくらいです。しかし、しだいに感染が膣から卵管卵巣へと進行し、ついにはそこから骨盤内、腹膜内に広がるとひどいことになります。骨盤内臓炎やフィッツフーカーチス症候群にいたります。治った後も卵管閉塞等のために不妊症になります。

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検査

尿検査
尿に膿が出てないか、雑菌が混じっていないか。尿糖、出血その他の異常がないか。
細菌検査
尿や尿道・膣の粘液を調べて淋菌などがないかを見る。淋菌そのものだけでなく淋菌の抗原抗体を見ることもある。最新の検査法は淋菌の遺伝子を増幅させるPCR(Polymerase Chain Reaction)法がありますので、ごく微量の菌でも検出ができます。
血液検査
淋菌が移るくらいだから、それだけでなくそのほかの性病も移っているかもしれない。(いや、もしあれば移るだろう。)そこで梅毒検査などを行います。さらに、肝臓や腎臓の機能などを調べて薬物療法の参考にします。(肝臓や腎臓が悪かったらいろんな薬が使いたくても使えんとばい)
治療
抗生剤・抗菌剤

ペニシリンなどの内服薬・注射薬を1-4週間続けます。1発で効くという注射(トロビシン、注射がかなり痛そう!)もありますが、治癒判定に再受診が必要です。最近は細菌が強くなり(薬剤耐性が出る)、効かない薬が増えてきて困ったね。実はペニシリンも時々効かないし、テトラサイクリン、ニューキノロンはかなり効かない。平成19年の日本泌尿器科学会でのシンポジウムではペニシリン耐性は92%、キノロン耐性は86%、テトラサイクリン耐性は78%でした。トロビシン、ロセフィンでは耐性がないがそれ以外では耐性菌が増えている。

2004年の性感染症学会、診断治療ガイドライン2004では、トロビシン、ロセフィンあるいはモダシンの3つの注射薬のうちからどれかを使うようにされている。かって効果的であった内服薬のセフスパンは耐性菌が増えているようでした。

2011年の日本性感染症学会による性感染症診断治療ガイドラインでは、第一選択の薬として、ceftriaxon 1g点滴(ロセフィン)、第二選択としてcefodizime 1g点滴(ケニセフ)、specctinomycin 2g筋注(トロビシン)となっている。

禁SEX・禁酒
治るまで絶対に人に移さぬ よう心すべし。移せば傷害罪と同罪です。
アルコール類で炎症が悪化するので ビールも当然ダメ。しばらくはトイレの後で自分の手を特に念入りに洗うことが必要です。
その他注意点
急性膀胱炎と同じです。
このごろ困ったこと

 耐性淋菌(薬が効かない淋菌)がたくさん出現しております。

産業医科大学泌尿器科の松本哲朗教授は次のように書いています。
(Convention insight on chemotherapy. vol.16 no.1 2001)
淋菌は古くからの感染症で、淋菌自体は薬ですぐ治療でき、命に関わる重症者は滅多にいませんでしたが、淋菌が薬に対して強くなった(耐性を獲得したという)ために長引いたり、ひどいことになることがあります。目に移り、結膜炎を生じたり(ひどいと失明する)、膝などの関節炎を生じたり、のどや副鼻腔に入り咽喉頭炎・副鼻腔炎を生じたり、膣から子宮周囲炎・子宮付属気炎を生じたり、直腸炎を起こすことが報告されております。内服薬だと次第に効果 が無くなっており、注射薬でないと効かないようになりつつあります。。しかも注射薬でも限られたものしか効果 がなくなりつつあります。

平成19年4月の日本泌尿器科学会でのシンポジウム、性感染症の動向、ではペニシリン耐性は92%、キノロン耐性は86%、テトラサイクリン耐性は78%でした。トロビシン、ロセフィンでは耐性がないがそれ以外では耐性菌が増えている。

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クラミジア性尿道炎/泌尿器科いまりクリニック、佐賀県伊万里市

症状

Chlamydia trachomatisという、細菌とビールスの中間のリケッチアという微生物が原因でおこる炎症です。
膀胱刺激症状(頻尿、排尿痛、残尿感)、尿混濁などがあります。淋菌性にくらべて少し症状が軽く、たいしたこと無いと思っているうちにだんだん症状がひどくなってきます。そのため副睾丸炎や前立腺炎などになってようやく治療を受けることがあります。特に女性ではほとんど症状が無いままに過ごし、次第に進行して、膣から子宮、卵管炎になって卵管閉塞から不妊症の原因になることがあります。ついにはそこから骨盤内、腹膜内に広がるとひどいことになります。骨盤内臓炎を生じたり、肝周囲腹炎や胆嚢炎に似た症状を示すフィッツ-ヒュー-カーティス症候群にいたります。治った後も卵管閉塞等のために不妊症になります。妊婦がかかると出産時に赤ちゃんに移してしまい、その赤ちゃんが先天性のクラミディア症になってしまいます(おお、身に覚えもないのにお気の毒)。

検査
淋菌の場合とほぼ同様の検査です。
治療
淋菌の場合と薬は異なりますが、ほぼ同様の治療です注意点も同様です。

どうぞ、おだいじに。

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