雑感(平成16年8月-平成16年12月)


8月・9月・10月・11月・12月


 観客動員 16.8.2

J2リーグ第25節、鳥栖スタジアムの観衆は2,536人だった。サガン鳥栖の4連敗(後半戦開始3連敗)以上に残念な結果だと思った。たとえ、これが開幕2連勝だったとして何人の観客が見込めるのだろうかという不安から過去のデータを見直した。

 過去の平均入場者数は、平成11年度3,385人、平成12年度3,714人、平成13年度3,479人、平成14年度3,890人、平成15年度3,172人と推移しているが、入場料収入は、平成11年度、平成12年度及び平成13年度平均で1億円程度と推定されるところ、平成14年度、平成15年度の平均は80百万を切ったと思われる。

 試合数、サイドスタンドの値下げ、無料招待の多寡により即断はできないが、今季の平均入場者数3,383人(13試合)から過去2年間の入場収入を上回ることが予想される。

 ところで、ユニホームスポンサーが前季の零から3社(団体)と増えたが、常設看板スポンサーの減少をカバーするまではないと思われ、過去最高の入場収入を得ることが、地域の支持を得るとともに、チームの存続のためにも絶対必要なものと思われる。

 選手による試合告知チラシの配布やサイン会の実施、鳥栖市の集客支援本部やサガン鳥栖存続チームの支援、サポーターが呼びかけている「Road To 25000」キャンペーンなどの効果が今後出てくると予想されるが、チームの目標である平均入場者数5,000人には程遠い現状である。

 問題点としては、@プロスポーツ観戦が一般化していないこと、Aホームゲームの開催日を知らないこと、B応援に行くきっかけがないことが考えられる。

 これらの問題点を解決するためには、@無料招待でも良いから年に1回は観戦する機会を与えること、A広報等を多角的に行うこと、B各団体、会社、サークル、、クラブ、学校等に対し組織的にアプローチを行うことが考えられる。

 以上のことを、チームを中心に行政、財界、支援団体、サポーターで協議し、組織的に活動を行うことがチームの存続や地域に根ざしたプロサッカーチームを育てることになるのではないだろうか。


 夢がある 16.8.8

 平成12年7月9日、4年前に発行された「夢がある(フューチャーズからサガン鳥栖)」を久しぶりに読んだ。サガン鳥栖の今日の状況をチーム発足時に戻って考えたいとの気持ちからである。

 第4章第2節(125〜126ページ)に「『“佐賀にクラブチームがあること”が本当に必要なことであると当時のPJMを含めた取締役が考えていたならば、彼らは何とかして続ける方法を探ったと思う。

 だが、実際には、やめることしか考えていなかった。サッカー協会やサポーターなどは“クラブチームがあること”に必要性を感じたから活動していた。』“サッカーチームがあること”この意味を理解していない人が鳥栖フューチャーズを解散させ、理解していた人がサガン鳥栖を生みだした。加藤はそう振り返った。」と記載されている。

 また、第4章第3節(128ページ)「フユーチャーズの解散のターニングポイントは三つ、スタジアム建設時の大手信販会社の撤退、福岡ブルックス(現アビスパ福岡)の参戦、PJMの撤退である。サガン鳥栖はこの逆境から、サッカーチームの存在意義や果たすべき役割といった今の理念(解説:基本理念「人づくり」「まちづくり」「夢つくり」)にたどり着いた。」と記載されている。

 さらに、第4章第4節(134ページ)「厳しい状況で走り続けるサガンには他のチーム以上に“プロらしさ”がもとめられている。それはみんな分かっているはずだ。鳥栖スタジアムに足を運ぶ人たちの声援にこたえる試合を見せてほしい。勝ちにいく姿勢を運営陣にも持ち続けてほしい。チームの存続を至上命題とするサガン。プロフェッショナルへの追求なくして存続は語れない。」と記載されている。

 後半戦の出だしでつまずいたとはいえ、現メンバーで頑張っている監督や選手、数が少なくなった看板スポンサー、Road To 25000で観客動員に寄与しているサポーター、支援の手を差しのべようとしている行政・団体・企業、勝利を祝っていただいている「勝ってもらおう会協賛店」、応援しているファン・サポーター、営業や100%減資・臨時株主総会開催で忙しいであろう取締役やスタッフとともにサガン鳥栖が存続することを、そして将来J1の舞台で闘うことを夢見たいと思った。 


  説明責任 16.8.15

 第28節札幌戦、まさかの敗退に現実を直視する必要がありそうである。試合展開は相手のミスに助けられ、味方のミスに泣いたゲームであった。前線の動きが少ないためか、スペースがなくバックパスやディフェンスでボールを回すシーンが多かった。

 守備に不安があるためボールを大事にキープしたいとの気持ちが積極性をなくしているいるのではないかと感じた。前半は連敗しても昨季より良い状態であったが、後半の連敗は昨季の悪夢がよみがえる。

 選手層が薄いサガン鳥栖がこの時期に苦しむことは予想されたことであり、監督や選手に不満をぶつけることはできない。選手補強のため忙しくて株主の同意を得ることができないとコメントした人は何をしていたのであろうか?田代選手(8月末までのレンタル)の獲得だけでは寂しい限りである。

 100%減資のための臨時株主総会開催の期限が6月末(参議員選挙まで)から、いつの間にか7月末に延長され、さらに、8月末まで延長されている。開催14日前には株主に開催通知を出す必要があるためタイムリミットは目の前である。

 また、プリンセス・テンコーによるサガン鳥栖サポーター応援歌CDが発売されたり、試合前に紹介されたスポンサー(内容は不明?)の数が大幅に増加したり、25日の試合にプリンテス・テンコーの応援が予定されるなど営業力が強化されているようであるが、何が変わったのか不明である。

 一方、サポーターは、チーム存続の危機に当たり、自ら「road To 25000」キャンペーンを繰り広げるとともに、9月4日のアビスパ戦の観客動員作戦を展開中である。これらの活動に多くのファン・サポーターが協力しており、鳥栖スタジアムがチームカラー一色になることを期待している。

 チームは、札幌戦後の記者会見で選手の補強や臨時株主総会の開催日等を明らかにするとともに、来季のサガン鳥栖の姿をファン・サポーターに示す良い機会だったと思ったが、何もマスコミ報道されていないところから、記者会見もされなかったのだろうか?チームは説明責任をいつ果たすのであろうか?


 100%から99%へ 16.8.21

 8月21日の佐賀新聞に「サガン100%減資断念」との見出しで、記者会見の内容が報道されている。100%減資断念は予想されたことであるが、新たに「支援企業がある」「99%減資で支援を受けられる」との発言があったようである。

 今年1月30日に古賀社長が経営改革委員会に対し、「100%減資して運営会社のすべてを一時、Jリーグに預ける」ことを提案してから半年を経過している。

 100%減資提案後、3月の定時株主総会があったにもかかわらず、具体的な説明がなく、4月に株主へのアンケート(ハガキ)が行われた。ハガキの回収が低調だったためか、法的効果がないためか、6月に「同意書」の提出依頼が行われた。

 その結果、6月末で(条件付も含めて)95%の人が「同意書」を提出し、残り10人が同意していないと報道されていた。21日の佐賀新聞では、株主説得は「代理人を立てて説得した」とある。最終的に何人同意しなかったのか不明であるが、100%減資の提案は、株主の排除が目的で、会社(チーム)再生の議論がないままJリーグの威光を利用して現経営陣が独走したのではないかと感じている。

 今回の99%減資についても、関係者(出資企業も含む。)間でスケジュールや減資・増資のシュミレーションをして提案されたものとは思えない。

 理由としては、@企業名が明らかにされていない、A複数の企業と発表されている、B臨時株主総会開催日(時期)を明らかにしていない、C99%減資により、100株未満の株主は議決権のない株主(端株)となることである。

 @については、具体的な計画が策定できない状態で(Jリーグの承認を得ていない。)であり企業名を明らかにできないのは当然かもしれない。Aについては、メインとなる企業が定まっていないと想定され、まだ、具体的な協議が行われていない可能性も高いと思われる。Bについては、具体的な協議が行われていない以上、時期(日)を明らかにすることはできないであろう。

 Cについては、100%減資が株主全員の同意が必要な理由と同じ理由が生じ、議論を繰り返すだけである。新規出資者が経営権を取得できるためであれば、出資額が50%以上になるように設定すれば良く、繰越損失を減額するためであれば90%減資が限度であろう。(前に提案した95%減資、100%増資の方法もあるが、端数株主が発生するため、現状では実施不可能と思われる。)

 佐賀新聞に、Jリーグ経営諮問委員会担当の四十物諭悠起雄(あいものゆきお)氏は「商法上許される行為なので、一つの方法だと思う。具体的なプランが提案されることを待ちたい」とコメントしている。

 サガン鳥栖にとって、嬉しい発表なのか、希望的発表なのか、支援企業が地元企業なのか、ホームタウン・ホームスタジアムは堅持できるのか、基本理念は堅持するのか、選手の補強ができるのか、広告スポンサーは獲得できているのか、聞きたいことは多い。今後の発表を待ちたい。


 サガン9連敗  16.8.30

  8月30日の佐賀新聞には「サガン鳥栖9連敗」「首位・川崎に今季最多5失点」「前半踏ん張るも実力の差」との見出しが躍っている。観戦してしていないので不明であるが、首位川崎との結果は後半戦のサガン鳥栖を知る者にとって予想の範疇であったと言える。サポーターとしては首位川崎に一矢浴びせて欲しかった。

 前半戦のあの勢いはどこに行ったのか不思議であるが、29日深夜(24時55分から30分間)に放映されたFBS福岡放送の「目撃者f」を見て株式会社サガン鳥栖の経営の不安定がチームに及ぼす影響を否定できないことを改めて痛感した。

 番組では、株式会社サガン鳥栖の株主169名の株式(持分)を100%減資で零にし、Jリーグに一旦経営を預けるという現経営陣の提案を紹介するとともに、Jリーグチィアマンからチームを害していると言われた株主の言い分や鳥栖スタジアムを応援する人々で一杯にしたいと活動しているサポーターの活動を取り上げるとともに、これらに動きに翻弄されるチーム(監督、選手)を浮き彫りにしていた。

 同じ様な経営危機に直面し再生したヴァンホーレ甲府の社長から会社再生の方法について取材し報道していたが、その内容に基づいてサガン鳥栖を検証し、新たな提案をするような報道はなかった。

 今回の経営危機に対する佐賀県や鳥栖市の行政の対応、地元財界の対応、サッカー協会を中心とするスポーツ界の対応や現在経営陣が主張している99%減資と新規株式の出資者等について取材し、今後の展望を追及して欲しかった。

 明日は、8月31日である。新たな約束(新規出資者の獲得と9月中の臨時株主総会開催)が守られ、来季のチーム構想が語られることを期待したいが、また、裏切られるのではないかとの不安がよぎる今日この頃である。

 ところで、「Road To 25000」の一環としてサポーターが9月4日のアビスパ福岡戦を満席にして会場を盛り上げようとしている。リーグ戦の入場者記録を更新し、観客を魅了する試合を期待したい。今は、サポーターだけではなく、監督、選手、チームスタッフが一丸となって頑張る時である。


 県プロサッカー振興会 16.8.31

 8月31日の佐賀新聞に「県プロサッカー振興会(2日発足)」「サガンを側面支援」「自治体など80団体」との見出しが踊った。「観戦の呼び掛けをはじめ、チームと地域のとの交流事業などを通して県民全体で支援する機運を盛り上げていく」と紹介されている。

 佐賀県、鳥栖市を中心とする自治体、佐賀市や鳥栖市の企業に支援の輪が広がることがチーム(運営会社)再生のために必要絶対条件と思っていた私としては、喜ばしい情報である。

 選手が指導するサッカー教室の開催、障害者や子供の試合への招待などを主な事業に予定し、構成団体からの寄付金に加え、一口千円の個人賛助会員を募って事業費を賄うとのことである。

 サポーター主導の「road To 25000」などに触発されたのかも知れないが、サガン鳥栖が地域のシンボルとして継続するために、できることから始めようというコンセンサスが自治体や企業等に生まれつつあると感じている。

 このコンセンサスが地域全体に浸透すれば、支援の内容も拡大され、個別に支援する企業も現れると信じている。これまで、鳥栖フユーチャーズの解散を理由に支援に躊躇していた企業も参加できるよう門戸は開放しておいていただきたい。

 そして、中核として働いている人材を各団体(企業)の窓口とし、それらの人々の情報交換の場を設けて、活動内容を周知するとともに、独自の事業を展開できる体力(人的・金銭的)を育成することが必要になってくるであろう。

 その際に問題になるのが、チームとの関係である。相思相愛の関係を構築することができるのかどうかを心配しなければならない状態であるが、それなりの緊張関係も必要だと思っている。また、サポーターとの連携や福岡県筑後地区への働きかけも必要になってくるであろう。

 サガン鳥栖を愛する者として、同じベクトルで会話ができる団体が発足することを喜びたい。


 九州ダービー 16.9.5

 久々のダービー勝利である。監督、選手の頑張りに感動しながら、それを呼び起こしたサポーターのエネルギーに感心しながら美酒に酔いしれた。

 前座試合から始まった九州ダービーは、Road To 25000実行委員会(サポーター有志)による少年サッカーチーム招待で観客も9,565人と今季最高の入場者数となった。アビスパ応援団が大挙して駆けつけ、ダービーを盛り上げてくれた。また、ハーフタイムショーが行われるなど他会場と遜色のない応援風景があった。

 初めて鳥栖スタジアムに応援に来た少年少女たちと、このすばらしい風景を共有できたことはサガン鳥栖にとって大きな財産となるものである。たとえ、それがアビスパの応援のために来た人であってもである。

 さらに、相手が認めるかどうかは別にして、近くに競い合うライバルいることは、スポーツだけでなく教育、福祉、企業活動においても重要なことであると思っている。

 他の掲示板に古川知事も駆けつけたとある。県プロサッカー振興協議会を立ち上げていただくとともに、自ら応援に駆けていただいたことに感謝したい。これもサポーターの熱意が動かしたものではないだろうか。

 サガン鳥栖は、鳥栖フユーチャーズの解散から発足したチームで鳥栖フユーチャーズを支援していた企業や行政が距離を置いたため、個人(株主、サポーター、ボランティア)が支えてきたチームである。

 「責任企業による運営」ができないチーム事情を理解していない人々によってチーム解散への道を歩んでいたが、今回のダービーにおけるサポーターの熱意と努力により、責任企業がなくとも「地域に根ざした運営」によりチームを再生できることを証明したと思っている。

 地域とは、地元行政を含む企業であり、住民であり、サポーターであり、ファンである。スポーツは企業の単なる広告塔ではなく、地域の人々が共有するものでなければならないと思っている。

 日刊スポーツには、ダービー終了後に古賀社長が記者会見し、「新しい出資企業と交渉中であること、クラブは解散しないことをあらためて強調した。」とある。新しい出資企業が1億円以上の広告スポンサーとなる企業であれば話しは別であるが、今は1千万円程度の増資に努力するよりも広告スポンサーや観客動員に力を入れる時期ではないだろうか。

 もし、そのような責任企業があるのであれば、チーム運営の理念(基本理念、運営方針、強化方針、ホームタウン等)について、地元行政、株主、サポーターとも協議すべきであり、現取締役の一存で決定すべきものではない。


  県スポーツ振興審議会  16.9.12

 第33節甲府戦は前半戦を思い出させる闘いではあったが、ただでも低い決定力が回復していないためドローとなった。上位に頑張っている甲府に今季負けなしである。相性の問題か、川崎戦の疲れからかシュート1本に終わった甲府に勝てなかったことに悔いが残る試合だった。

 9月12日の佐賀新聞に「県スポーツ振興審議会」福本敏雄会長へのインタビュー記事が載っていた。昭和36年に「スポーツ振興法」が制定され、各県に「スポーツ審議会」を設け、スポーツ振興計画を策定することとなっているが、昨年(15年)6月に鳥栖市議会議員有志による「スタジアム問題研究会」が発足した際にHP等を検索したが、当時、佐賀県や鳥栖市に「スポーツ審議会」が設置されているとの情報を得ることができなかった。

 今回の記事を見て検索したところ、佐賀県にも昭和37年に「県スポーツ振興審議会」が設置されていたようである。平成15年7月に県教育長から同審議会に「佐賀県スポーツ振興基本計画の在り方について」が諮問され、平成16年3月の同審議会答申に基づき「県スポーツ振興基本計画」が策定され、8月27日の審議会で報告されている。

 この基本計画の構想図によると、「県民総スポーツ社会」を目指し「する」「みる」「ささえる」スポーツの振興を行うことになっている。具体的には「生涯スポーツの振興」「学校体育・スポーツの振興」「競技スポーツの振興」を柱に各種施策を実施する計画である。

 残念なのは、「スポーツ振興法」第16条の2(プロスポーツの選手の競技技術の活用)が基本計画や各種施策の中に活かされていないことである。「県プロサッカー振興協議会」が9月2日に誕生したことは偶然でないかもしれないが、前者は県教育庁体育保健課が主幹しており、委員18名のうち8名が現職の教育関係者である。後者は県庁統括本部政策監グループのサガン鳥栖存続タスクチーム3人(実質1名)が主幹している。

 県には、プロサッカーだけでなく、バレーボールやハンドボールも日本リーグで闘っており、これらの選手を活かす施策を検討して実施していただきたいと思っている。「スポーツ振興法」は県だけでなく、市町村にも「スポーツ振興審議会」を設けることができるとしており、鳥栖市にも是非設置し、プロサッカーチームのホームタウンとしてのスポーツ振興計画を策定していただきたいと思っている。


 何もない 16.9.24

 「何もない」J2第35節湘南戦後の記者会見での松本育夫監督の発言である。西日本スポーツでは「鳥栖また内紛表面化」と報道されている。スポーツ新聞独特の見出しではあるが、サポーターとして心穏やかでない見出しである。

 確かに、現経営陣は、100%減資を主導し臨時株主総会開催を目指していたが、一部株主から100%減資の同意が得られないとして、臨時株主総会の開催時期を6月から7月へ延長し、さらに、8月には99%減資へ転向し、臨時株主総会を開くと記者会見していた。

 しかし、県プロサッカー振興協議会(81団体)が9月2日に発足すると、株主懇談会を開催し、社長退陣を条件とする100%減資か現状維持かについて株主の意見を聞きたいと転向したが、いまだに株主懇談会の開催通知もない状況である。

 今回の松本育夫監督の記者会見で明らかになったことは、来季のチーム構想を話し合う時期なのに何も話がないということだと思われる。通常、来季の強化方針等が監督に示され、監督自身の去就も含めてチームの骨格が定まるとともに、選手の査定が行われ、11月30日までに選手に解雇(零査定)又は契約更新の条件を示すことになっている。

 3年目を迎える現経営陣にとって、今何をすべきかということは当然に理解されていると思う。その上で来季のこと(営業やチーム強化)を考えていないとすれば、企業の経営者として、プロサッカーチームを預る責任者としての適性を疑われてもやむを得ないと思う。

 たとえ、任期満了で退陣する予定であっても任期中は経営者として来季のために営業活動を行うとともに、チーム強化に努めるのが経営者としての責務である。サポーターとして、株主の一人として、サガン鳥栖が地域の人々とともに生きるチームとして、地域に貢献する企業として再生することを祈っている。


 退陣表明 16.10.1

 9月30日と10月1日の各メディアが一斉に「古賀社長退陣表明」を報道している。社長に就任して2年半の間に何度同じ発表を聞いたか覚えていないが、今回は本気かもしれない。しかし、各メディアにより報道の内容が異なるのが気になるところである。

 「退陣時期」:今シーズン限り(STS)、1月末の任期満了(佐賀、共同、読売、日刊スポーツ、西日本スポーツ)、運営が軌道にのれば1月末以前もあり(佐賀)

 「退任理由」:株主らの足並みの乱れ(読売、日刊スポーツ、西日本スポーツ)、市民球団での運営を模索する動きがある(佐賀)

 「続投要請があった場合」:「やることはありません」(STS、読売、西日本スポーツ)

 「10月15日の出席者」:歴代の役員や株主による会議(STS)、歴代取締役やサポーターとの会合(共同)、発起人や歴代取締役の会議(読売、日刊スポーツ)、

 「10月15日の協議事項」:後任(STS、読売、日刊スポーツ)、99%減資などの経営方針(読売)、後任候補を募る(共同)、来季のチーム作り(読売)、今後の運営方針(西日本スポーツ)

 「株主懇談会」:10月開催(STS)、新経営陣が選出された後早急に(佐賀)

 「株主懇談会の協議事項」:後任社長(STS)、

 「株主総会」:11月半ば(佐賀)、

 「後任の社長」:株主懇談会で話し合われる(STS)、推薦を募っている段階(STS)、県サッカー協会や歴代取締役が推薦する人(共同)、旧経営陣やチーム発起人、佐賀県、鳥栖市の関係者が推薦する人(西日本スポーツ)

 「候補者」:すでに数人が候補として挙がっている(共同、西日本スポーツ)

 「候補者の処遇」:執行部入り(日刊スポーツ)、すぐに経営参加(佐賀)

 「チーム体制の決定」:新執行部(共同)、11月30日に決定(佐賀)

 と異なるニュアンスで報道されており、事前準備なし、資料配付なしの記者会見だったことが想像される。したがって、これらの記事に一喜一憂することなく、経営委譲が早期に行われるよう冷静に見守るしかないと思っている。

 過去の反省から、佐賀県、鳥栖市などの行政が後押しできる人、地元企業の支援とサポーターの支持が得られる人、すなわち、サガン鳥栖を愛し、スポーツの発展と地域の活性化に尽力できる人材で「やる気」のある人が新たな社長(取締役)になるべきと思っている。

 いつもの事ながら、時間のない中での社長(取締役)選考であるが、市民球団として地域の人々への感謝の気持ちを忘れない人を選考していただきたい。


 市民球団 16.10.8

 10月8日、往復ハガキが送られてきた。文面からすると9月30日の記者会見で10月15日(金)に開催すると発表されていた会議の招待状のようである。返信用ハガキの宛名に「株式会社サガン鳥栖」との記載はあるが、差出人の名称(氏名)もない、会議の名称もない不思議なハガキである。

 文面によると、サガン鳥栖発起人、歴代の取締役、サッカー協会の方々、株主、サポーターが対象のようであり、現経営陣から関係者に「サガン鳥栖が今まで同様の市民球団として運営できるのか?」というテーマが投げかけられているようである。 

 ここで議論すべきは「市民球団」という言葉である。ファン・サポーターだけではなく広く地域の人々から支持されることが「市民球団」の条件ではないだろうか。福岡ダイエーホークスは、ロゴを開放するなど地域の企業が応援できる環境を整備するとともに、市民の支持を受けていることから、地元の資本ではないが「市民球団」と称している。

 確かに、サガン鳥栖は「市民球団」として発足したが、その実態は「クラブ」から「会社」へ、「会社」から「個人」へと変貌している。「今まで同様の市民球団」=「個人」であれば継続は不可能であろう。

 しかし、地域の人々に支持される「市民球団」としてサガン鳥栖の評価が上昇すれば、新たな株主も新たな広告スポンサーも獲得できるはずである。

 現在のサガン鳥栖にとっては、魅力ある「市民球団」として再生できる能力と人徳がある経営者を選考することが最重要課題であるが、株主総会でもない、株主懇談会でもない、経営改革委員会でもない、サポーターとの懇談会でもない15日の会議で、新たな経営者が手を挙げると期待することは無理であろう。

 新たな経営陣(取締役)を選考する権能があるのは株主総会であるから、早期に臨時株主総会を開催すべきである。候補者がいないということであれば公募するのも一つの方法かもしれない。

 15日の会議がモグラ叩きにならないよう祈るばかりである。


 意見交換会 16.10.16

 10月16日の佐賀新聞に「社長候補新たに2人」「来月の臨時総会で決定」との見出しで紹介されている15日の「意見交換会」に出席した。出席依頼文(ハガキ)によると「今後のサガン鳥栖の運営について」議論するために、発起人、歴代の取締役、サッカー協会の人々、株主、サポーターに出席を呼びかけたものである。

 しかし、佐賀新聞で「次期取締役候補を選出するための意見交換会」と紹介されているとおり、次期社長候補となる人が名乗りをあげたため、テーマが変更されたようである。冒頭に古賀社長から100%減資が実現できなかった理由について説明があった。質問に対する回答も踏まえて整理すると、

 「前経営陣から@財団化するか、A大企業に出資をお願いするかとの経営方針を引き継いだ。財団化が不可能になった時点で大企業に出資をお願いしたいと思ったが、出資をお願いできる状況でなかったので、Jリーグに預って欲しいと依頼した。Jリーグから預る条件として100%減資と地元自治体も含むメンバーが後を引き受けるとの確約が必要と言われていた。

 したがって、100%減資が実現したとしても、Jリーグへ預けることが不可能だった。100%減資が株主の権利を奪うものであり、実現できるとは当初から思っていなかったが、可能性があればということで努力した。

 100%減資と併行して大企業への出資依頼を行っていた。99%減資で出資したいという企業もあったが、最近になり前経営陣からの引継事項が執行部(当時)の一致した考えでないことが判ったため交渉を中止した。」

 以上のような説明があった。

 さらに、10月22日を締め切り日として取締役候補の推薦受け付けること(社長候補がいることが条件)、A11月16日に臨時株主総会を開催することが発表された。これに対し、出席者3名から取締役候補を推薦したいとの表明があったが、井上良一氏以外は取締役候補の氏名は明らかにされなった。

 井上氏の推薦人から本人が出席して挨拶する予定であったが、他に推薦されている人がいるので、本人と協議したいとの申し出があった。出席者から話しを聞きたいとの声があり、井上氏の挨拶と簡単な質問が行われた。

 井上氏は、経営に意欲を示すとともに、時期がきたら説明すべきことは説明したいとして具体的な抱負等の表明はなかった。


 社長候補は1人に 16.10.27(10.28追加訂正)

 10月27日の佐賀新聞に「社長候補は1人に」「株主2人が擁立断念」との見出しで報道されている。先の意見交換会で候補者の擁立の意向を表明していた株主の1人は、「ある会社社長を推していたが(サガン社長として立候補するには)取締役会の承認も必要で、手続き上の時間がなっかった」「クラブからの財政状況の報告もなく、経営計画を立てる上での判断材料も少ない」、もう一人の株主は「名乗りをあげている(井上氏)のサポートに回り、候補者を一本化した方がいいという結論になった」と語ったと報道されている。

 株式会社サガン鳥栖の経営が円滑に移譲されることを期待したいが、@Jリーグの経営諮問委員会に経営計画などの説明を行う必要があること、A臨時株主総会で井上氏が推薦する取締役候補(厳密には現株主の3%以上が推薦する者)が承認される必要があること、B今季の運営に責任を持つと表明している現取締役の動向に左右されると感じている。

 また、井上氏が経営を引き受ける条件としていた、予想外の負債については心配していないが、95%減資と増資については、その内容に不安を感じている。減資の方法としては、株式数を削減する方法と資本金額を減額する方法のどちらを選択するのか、増資の方法として、株主割当と第三者割当の組み合わせを選択するのかどうかにより、@単なる累積損失の圧縮なのか、A運営資金の確保なのかB支配権を確立するためなのか、C現株主を排除するためなのか意図が明らかになると思われる。

 また、その実施時期も問題となるだろう。11月に開催予定の臨時株主総会では新取締役の承認と、その後の取締役会での代表取締役の選任が限度であろう。井上氏には、その後にサガン鳥栖の実態を把握していただき、減資・増資の問題は定時株主総会で提案していただくのがベターだと感じている。

 それ以上に大切なのが、クラブ設立時の理念である「地域密着のクラブ運営」を目指していただけるかどうかである。ファン・サポーターを大切にし、地元の行政や企業、そして市民の応援を求めながら地域密着のクラブを目指して欲しいが、有名な元J1選手を集めてJ1を目指すなど話題優先のクラブ運営はして欲しくないと思っている。


 認めない 16.10.29

 10月29日の時事通信によると「鳥栖の社長候補、『認めない』=鈴木チァマン、脱会勧告も」と報道されている。諮問委員会での説明も受けていない状況での発言に驚いている。井上氏の経営する会社の財務内容を問題としているようであるが、昨年もサガン鳥栖の取締役候補が辞退に追い込まれており、理由は別かもしれないが何らかの意図が隠されていると感じている。

 ホームタウンである鳥栖市、あるいは佐賀県のバックアップがないと判断したのか、他に理由があるのか不明であるが、サガン鳥栖が荒波に放り出されたことは事実であり、この発言があったことにより、井上氏は社長候補を辞退するであろうし、臨時株主総会を開催したとしても承認を得られるとは思えない。再度、社長候補の募集をしなければならない状況に追い込まれたようである。

 来季の監督・選手との契約を考えると早急に後任の社長候補を選考して、臨時株主総会で承認を得る必要がある。先の株主推薦の社長候補の中にサガン鳥栖の社長として立候補するためには取締役会の承認が必要であるが時間がないとして立候補を断念した人に再考していただくしかない。

 その人がホームタウンである鳥栖市や佐賀県の支援を受けられる人物であり、かつ、Jリーグの横車を受けない人物であることを祈るばかりである。このままの状態が続けばチームの解散も覚悟しなければならない危機的状態である。


 出資先探しに意欲 16.11.1

 11月1日の共同通信によると佐賀県の古川知事が定例記者会見で「鳥栖から県に要請があれば、出資先を探したい」、さらに「いろいろなところから『興味がある』という話が県にきている」と語り、スポンサー探しに積極的に取り組む姿勢を見せたと報道されている。

 鈴木チェマンの非常識な発言の原因が今日の記者会見だったのかもしれない。鈴木チェマンが井上氏と佐賀県知事と比べ後者を選択したということではないだろうか。サポーターとしては、井上氏の勇気ある行動に感謝するとともに、古川知事の表明がもう少し早ければと考えてしまうが、チーム存続が最優先であり、理由はどうであれ、Jリーグの判断に従うしかないのも事実である。

 10月31日の西日本新聞によると「古賀社長はJリーグ側から29日夕方に『県が球団(運営)を引き受ける準備ができたと』と連絡があったことも公表し、『確認したが、県は否定している。なぜそんな話しが出たのか確認したい』と話した」と報道されていた。さらに、今夜のNHKニュースによると、古賀社長は井上氏の代理人と県庁を訪問し、担当者と協議したと報道されていたが、非公開の協議で内容の説明はなかった。

 これらのことを総合的に考えると、Jリーグ、サガン鳥栖、佐賀県、鳥栖市、井上氏(又は代理人)や他の社長候補(又は推薦者)間の意思疎通が十分でなかったことからチーム再生の手順にズレが生じたようである。

 これらの縺れた糸をほぐして、それぞれの立場でチームの存続と発展のために尽力することが求められいるのではないだろうか。


 ラストスタート 16.11.6

 11月6日第41節札幌戦が行われる。今季開幕時にアシストが個人的目標としていた11勝11分け22敗を達成するためには、残り3勝1分けの成績が必要であり、目標達成が困難な状況であるが、監督や選手には負け数22にこだわって欲しいと思っている。

 未だに松本監督に来季も続投して欲しいのかどうかも発表できない会社にいらだつとともに、株主の一人として責任を感じている。現経営陣に重い責任があることは当然であるが、関係者(株主、行政、Jリーグ、サッカー協会、サポーター、地元企業等)の責任も否定できないのではないだろうか。

 11月4日の佐賀新聞には、「株主らが質問状」との見出しで、先の鈴木チァマンの井上氏に関する発言に対し、井上氏の代理人らが質問状をJリーグに提出したと報道されている。鈴木チァマンの非常識な発言が誤った情報に基づいたものであれば取り消していただくのが当然である。

 しかし、古賀社長が10月30日の記者会見で鈴木チァマンに直接真意をただすと発言していたにもかかわらず、Jリーグにこのような形でしかアプローチできない現状が問題だと思っている。(他のHPで公表されている質問状等の内容から判断すると、古賀社長が同行するとは考えられないのも事実である。)

 一方、11月6日の佐賀新聞には、「積極的にかかわる」との見出しで、Jリーグの熊地常務理事と経営諮問委担当の四十物悠紀男の二人が鳥栖市の牟田市長に面会し、鈴木チァマンが次期社長候補に難色を示した理由を説明し、サガン鳥栖の経営問題について積極的にかかわっていく姿勢を示した旨報道されている。

 また、佐賀県のチーム支援担当の職員は「(Jリーグと)電話でのやりとりを含め協議しているのは事実」と話したと報道されているが、サガン鳥栖経営陣の動向が報道されていないことが気になるところである。

 これからは、Jリーグと佐賀県が主導する形で経営問題が推移するのではないだろうか。少なくとも鈴木チァマンの発言がサガン鳥栖の脱会や除名を目的としたものではなく、さらに、個人的な理由ではなく、サッカー界、広くはスポーツ界のために憎まれ役を買って出たと信じたい。


 最終コーナー 16.11.13

  11月8日に株式会社サガン鳥栖のHPに現取締役の談話(?)が掲載された。社長候補に立候補した井上氏の名誉を傷つける結果となったことを詫びる談話と理解できないことはないものの、公的支援(出資等)や間接的支援(応援活動や支援企業の紹介)等が明確でないため、意図するものが理解できない談話となっている。

 談話の最後に「これ以上迷走を繰り返すわけにはいきませんので県の方へは一日も速く会社名を公表してもらうようにお願いします。」とあったところ、11月9日の佐賀新聞に「人材ネット会社浮上」との見出しでクリエーター・ネットワーク会社「クリーク・アンド・リーバ社」(井川幸広社長、本社東京都港区、資本金10億2,279万円)が紹介された。

 佐賀県も株式会社サガン鳥栖も発表しておらず、当該会社の広報も茶飲み話程度であるとコメントするなど、佐賀新聞社の勇み足とも思われたが、鈴木チァマンが問題ないと発言する一方、鳥栖市も支持の意向を示していたようである。

 ところが、11月10日に株式会社サガン鳥栖から株主に封書が送られてきた。まさか、懇談会で約束していた11月16日の臨時株主総会の案内状とは思わなかったが、予定どおり開催できないお詫びとこれまでの経緯の説明と思って開封したところ、11月8日付のHP談話のみが同封されていた。

 一方、古川知事が12日に直接クリーク・アンド・リーバ社に支援要請を行った結果、11月13日の佐賀新聞に「ク&リ社『前向き検討』」との見出しで、「スポーツ分野へのビジネス拡大の視点でも(経営参画を)検討していくことになる」「身の丈に合った経営をし、佐賀で徐々にサッカー人口を増やしていきたい」とコメントし、社内に検討チームを設け、チーム経営へ向けた対応を協議すると報道されている。

 今回の支援要請手順について遅いと感じている人も多いと思うが、クリーク・アンド・リーバ社が上場会社であることを考えると、上場会社は常に自社の株主を意識した経営を行っており、この程度の遅延はやむを得ないと理解すべきではないだろうか。

 現時点で一番気になるのは、いつ公式に引受けを発表するかであるが、佐賀新聞では、正式な回答は選手の契約更新の期限が切れる11月末までには得られる見通しと記載されている。

 さらに、気になるのは社長候補に立候補した井上氏である。現経営陣が一方的に立候補辞退を発表した感もあり、本人若しくは代理人から辞退の発表が必要でであろう。井上氏らが辞退しない場合には、3%以上の株主が推薦した取締役候補であり、会社として無視することは商法上の問題が生じるのではないだろうか。

 現経営陣は、今季限りでの辞任を表明しており、来季の監督・選手との契約やスポンサー契約は次期経営陣が行い責任を持つべきとの経営方針のため、当面は、クリーク・アンド・リーバ社から派遣された人が経営内容の把握と来季の計画を策定することになると思うが、早急に臨時株主総会を開催し、新たな取締役を選任しないと来季の契約ができない状況が想定される。

 したがって、クリーク・アンド・リーバ社には、事業の引継方法が子会社への営業譲渡であれ、サガン鳥栖の減資と増資の組み合わせであれ、取締役に就任し、経営状況を十分に把握した上で判断していただきたいと思っている。

 また、ホームタウン拡大の必要性を感じているが、佐賀県にこだわることなく市場調査を行った上で判断していただきたいと思っている。


 営業譲渡 16.11.17

 11月17日の日本経済新聞の九州経済欄に「個人出資で新運営会社」との見出しで、佐賀県から推薦されているクリーク・アンド・リバー社の井川幸広社長がエイチ・アイ・エスの沢田秀雄会長、エイベックスの依田巽名誉会長など複数のベンチャー企業経営者や地元企業に呼びかけ資本金2億円の新会社を設立したうえで、サガン鳥栖から営業譲渡を受ける案で調整すると報道されている。

 サガン鳥栖の株主の1人としては、営業譲渡しなければならないことに対し寂しい気持ちと一安心との気持ちが交差している。鳥栖フユーチャーズが解散し、Jリーグの超法規によりJFL参加クラブとしてサガン鳥栖が発足し、さらに、J2リーグ発足により法人化が求められ、株式会社サガン鳥栖が誕生した。

 設立当時の関係者は3年間頑張れば鳥栖フユーチャーズ解散の後遺症も解消し、地元財界の支援が受けられるだろう。ワールドカップまで頑張れば景気も上昇し、サッカー界の環境も良くなるとの思いから頑張ってきた。

 しかし、これらの人々がチーム運営から距離を置くようになるとともに、チーム設立時の基本理念である「人づくり」「まちづくり」「夢づくり」が遠い存在と感じられた今日この頃である。

 現在のサガン鳥栖にとって「チーム存続」が最低の目標であるが課題も多い。これらの課題をクリアしなければ「チーム存続」という最低の目標さえ実現できないという悲しい結果が待っているかもしれない。

 営業譲渡するためには譲渡先とともに、譲渡すべき財産の特定が必要であり、その譲渡価額を交渉し、営業譲渡契約書(仮契約)を作成する必要がある。そして、臨時株主総会(半数以上出席)において、3分の2以上の賛成により承認を得る必要があるが、これを短期間に実現することは専門家でも大変なことだと思われる。

 もし、この営業譲渡契約が達成できない場合、Jリーグから脱会勧告が行われる可能性も否定できない深刻な状況であり、現経営陣をはじめとする関係者の一丸となった対応をお願いしたい。

 私は、新会社にサガン鳥栖の基本理念を引き継いでもらうとともに、ホームタウンを佐賀地区、筑後地区に拡大して欲しいと願っている。


 バスツアー 16.11.21

 11月20日の京都戦は0−2という結果だけではなく、観客が2,269人と少なく、選手に覇気がなく、やる気が感じられない試合だった。

 しかし、試合外で一つの光明に出会った。それは、11月27日ホーム最終戦である川崎戦にバス3台が佐賀県下から鳥栖スタジアムへ運行されるというお知らせがマッチデープログラムに掲載されていたことである。

 ただ残念なことは、チームのホームページに掲載がなく、募集の締切日が11月20日となっていたことであるが、サガン鳥栖の歴史にとって画期的なことである。

 出発、経路を紹介すると

 1号車 唐津市役所、相知町交流文化センター、厳木町コミュニティーセンター、多久市役所、小城町役場、大和町役場→鳥栖スタジアム

 2号車 伊万里市役所、西有田町民体育センター、有田町役場、武雄市役所、北方町役場、大町町役場、江北町役場→鳥栖スタジアム

 3号車 塩田町役場、鹿島市役所、有明町役場、白石町役場、福富町役場、芦刈町役場、牛津町役場、久保田町役場→鳥栖スタジアム

の合計21市町を経由するバスツアーが実施される。料金は1人1,200円、申込先はタビックスジャパン佐賀支店(TEL0952-24-9000)であるが、利用される方は締切日が過ぎているので、電話で空席があるかどうか確認をお願いしたい。

 特定の地区からのバスツアーは聞いたことはあるが、21市町を経由するバスツアーが企画されたのは初めてではないだろうか。明記はされていないが、佐賀県プロサッカー振興協議会の力によるもとと感じている。

 ところで、佐賀県が推薦した企業の代表者等が参加した新会社への営業譲渡問題はどうなったのであろうか。11月21日の西日本新聞には「この日、古賀社長が佐賀県が推薦する東京都内の会社社長と初めて接触したが、来季の選手との契約期限は30日。補強戦略の遅れは否めない。」と報道されている。

 試合終了後に記者会見をしたのか、「接触した」とは直接会ったのか、電話なのか、あいさつ程度なのか、営業譲渡について交渉したのか、選手の零査定について協議したのか不明である。

 11月21日の西日本スポーツには「古賀社長は『クラブをつぶしたりすることは絶対にありません』と断言した。だが、その自信を裏打ちする材料は乏しいのが現状だ。」と報道されているが、今の株式会社サガン鳥栖は新会社への営業譲渡を求められている立場であり、円滑な営業譲渡(株式会社サガン鳥栖の清算)が古賀社長を初めとする現取締役の使命となっている。

 確かに、営業譲渡により鳥栖市をホームタウンとするプロサッカーチームは存続するが、鳥栖フユーチャーズが消滅したと同様に現在のサガン鳥栖は消滅し、チーム名を継承するにしても、新たなチームが誕生するということを理解する必要があるのではないだろうか。


 最後のチャンス 16.11.21

 11月21日の日刊スポーツによると、古賀社長が20日クリーク・アンド・リバー社の井川幸広社長と初めて面談したと報道されている。

 気になるのは「古賀照子社長(48)は20日、(中略)の井川幸広社長(44)と久留米市内で初めて面談し、経営方針などについてのヒアリングを行った。古賀社長が『鳥栖の経営にどれだけ熱意を持っておられるか、直接、聞いてみたかった』と話し、今後のチーム運営などに関して意見交換を行ったもよう。」と報道されていることである。

 古賀社長の説明を記事にしたのであろうが、今さらヒアリングでもないであろう。他に選択肢があるのであれば、この記事もなるほどと感じられるが、井川社長は佐賀県の推薦を受け、Jリーグの鈴木チァマンも認めている人である。

 古賀社長が他に選択肢があると勘違いして面談しているのであれば、サガン鳥栖にとって最悪の結果が待っている可能性があると心配している。評価されるべきは井川社長ではなく、古賀社長が経営するサガン鳥栖であることを肝に銘じて対応をお願いしたい。

 井川氏は新会社による営業譲渡(チーム運営)の引受けを表明しており、逆に古賀社長がこれまでのサガン鳥栖の歴史とホームタウンである鳥栖市の魅力を説明し、サガン鳥栖の基本理念を引き継ぐとともに、監督・選手・コーチ・スタッフ、社員の契約・雇用の継続を依頼し、株式会社サガン鳥栖の財務内容を説明し、清算が円滑に実施できる譲渡条件を提示すべき面談だったのではないか。

 勘違いのまま面談しては、まとまる話もまとまらないのではないかと危惧している。12月上旬に臨時株主総会を予定していると報道されているが、現経営陣は何を議案として提案する予定なのであろうか。株主に対する状況説明だけであれば最終戦前でも実施できるのではないだろうか。


   臨時株主総会召集 16.11.22

 11月22日、「臨時株主総会召集ご通知」なる立派な文書が届いた。現経営陣は何を議案として提案する予定なのかと心配したが、提案する議案があったようである。議案は先に社長候補として手を挙げた井上氏ら4名の取締役選任であった。

 本来なら11月16日に開催すべきものが、12月5日(日)19時、鳥栖商工センター2階大会議室での開催となったようである。井上氏が社長候補を辞退したとの発表が誤報なら、臨時株主総会を開催して議案を採決すべきではあると思うが、臨時株主総会の延期や誤報に関する謝罪等の言葉がないことが残念である。

 気になるのは、10月29日の時事通信に「鳥栖の社長候補、『認めない』=鈴木チァマン、脱会勧告も」と報道されているように、鈴木チァマンが井上氏の社長就任に反対していることである。鈴木チァマンの誤解が解けたのであろうか。解けたのであれば、その旨説明していただきたいと思う。

 井上氏が立候補した時、95%減資の実現と想定外の借入金があれば辞退すると表明されていたが、どの時期に減資するのか、増資はどの程度なのか、運営方針はどうなのか、財務状況は確認したのか、聞きたいことが多い。

 また、佐賀県が推薦するクリーク・アンド・リバー社の井川社長らが設立する新会社への営業譲渡の話しが出ており、Jリーグの鈴木チァマンも支持していると報道されている。

 これらの情報が明記されていない臨時株主総会召集通知で株主に判断を求めることは、2本のくじ(@井上氏、A井川氏)があるにもかかわらず、1本のくじを見せて選択を迫るのと同じである。

 本来は、取締役選任の議案とともに、営業譲渡交渉を承認する議案を提出し、井上氏の取締役選任の結果にかかわらず、営業譲渡の可否について採決すべきである。営業譲渡する場合には、株主総会の特別決議を得る必要があるが、株式会社サガン鳥栖の清算にもつながる営業譲渡の場合、その可否を代表取締役の一存で左右すべきではないと思っている。


 株主の責任 16.11.23

 11月23日のアビスパ戦、結果は1−2の敗戦ではあったが。11月20日の京都戦に比べるとモチベーションが高かった。今日は、1万5千人の観客が応援するホームスタジアムで勝利の美酒を味わうことができたら、どれだけ幸せかと夢想してしまった。

 その夢も泡と消えるかもしれない状況にある。このことを株主全員が理解しているかどうか疑問に感じている。理由は、ここ数年、出席者(委任状を含む。)が不足して定足数に達せず、総会開催が危ぶまれる状況が続いていることである。

 サガン鳥栖のため、サッカーのため、地元のため、子供のため、友人のためなどの理由から株主になった人も年数が立つにつれ、その理由が希薄になり、関心がない人が増えていると思われる。

 しかし、今回の臨時株主総会はサガン鳥栖の命運を決定する重要な株主総会である。議案に賛成するにしろ、反対するにしろ自己の責任に置いて投票すべきである。与えれた議案は取締役4名の選任かもしれないが、今後のサガン鳥栖だけでなく、地域のサッカーを左右する一大イベントである。

 推薦された取締役候補は、現取締役が任期満了退陣を表明している中、取締役候補として手を挙げていただいた方々であり、株主としては感謝すべき人々であるが、、理由は明確ではないが脱会勧告も辞さないとJリーグの鈴木チァマンが井上氏の社長就任を強く反対している。

 一方、今回の臨時株主総会の議案とはなっていないが、佐賀県が推薦するクリーク・アンド・リバー社の井川社長が設立する新会社への営業譲渡の話しが進行している。

 今回の株主総会議案に対する賛否については、井上氏らの立候補の趣旨、成績目標、予算計画、経営方針等を株主総会で確認する必要があると感じている。 また、井川氏らの営業譲渡の提案理由、新チームの成績目標、予算計画、経営方針等を速やかに明らかにしていただきたいと思っている。

 「どうでも良い」「自分が出席しなくとも」「自己の利益にならない」などの理由で臨時株主総会に出席しない株主がいる。これらの株主も出席して賛否を論じていただきたいと思っている。大部分の株主にとって、チーム存続が約束されるのであれば、株主としての権利・義務が消滅することもやぶさかではないと思う。


 推薦状 16.11.24

 11月24日、「役員候補4名の推薦の経緯について」との文書が推薦人代表から届いた。12月(訂正しました。)の臨時株主総会の議題である井上氏ら4人の取締役選任に関する推薦の言葉である。

 その内容は、他のHPで紹介されているとおりである。推薦人のサガン鳥栖に対する思いや現経営陣に対する評価が表現されており、サポーターの共感を得る文章ではあるが、サガン鳥栖の経営を担いたいと社長候補に立候補した井上氏の思いが適確に表現されているとは思えなかった。

 佐賀県が推薦するクリーク・アンド・リバー社の井川社長が設立する新会社への営業譲渡について、現経営陣ではなし得ないから井上氏を推薦すると説明するとともに、取締役候補を推薦しているのであって社長候補を推薦しているのではないと説明されている。

 さらに、株式会社サガン鳥栖のことを第三者である県やJリーグが決定することはできないと説明されている。

 しかし、営業譲渡の交渉役が井上氏(取締役)でなければならない理由はないであろうし、経営を担うのであれば井上氏のサッカーに対する思いやチームの運営方針などを紹介して欲しかった。

 最大の問題は、10月29日の時事通信に「鳥栖の社長候補、『認めない』=鈴木チァマン、脱会勧告も」と報道されているように、鈴木チァマンが井上氏の社長就任に反対していることである。これを意識して「取締役候補を推薦しているのであって社長候補を推薦しているのではない。」と説明されいると思うが、説得力に欠けるのではないだろうか。

 確かに、法律的にサガン鳥栖のことを第三者である県やJリーグが決定することはできない。しかし、J2リーグに所属するサガン鳥栖がJリーグの意に反し、さらに、地元自治体である佐賀県や鳥栖市の意に反して存在し得るであろうか。

 サガン鳥栖を愛するがゆえに、関係者の意を解しないのもどうかと思っている。どの道を歩むのかは臨時株主総会の投票で決定されるが、その選択によってはさらに高いハードルが待っていると思われる。


 会社の迷走 16.11.25

 11月24日の日刊スポーツ(HP)に「経営陣は迷走、社員5人解雇」との見出しで「広報、営業ら社員が古賀照子社長(48)から今月30日付での解雇通知を受けていたことが23日分かった。」と報道されている。

 今、社員が何人いるか不明であるが、残る社員がいない状況ではないだろうか。理由があるかもしれないが常識では考えられないことである。12月5日の臨時株主総会で新取締役が選任され、新しい社長が社員を連れてくるからという理由でも、11月30日に解雇する理由が判らない。

 リーグ最終戦が11月27日に終了するが、臨時株主総会(12月5日)や監督・選手との契約更新の準備、来季のための営業活動、今季の会計と忙しいはずである。単に人件費圧縮が目的かもしれないが、この3年間に何人解雇(退職)したか数えるのも気が重くなる。

 同HPでは「チーム関係者は『Jと佐賀県、水産会社と(古賀)社長が対立している』とチームの方向性に疑問を投げかけていた。」と紹介されているが、古賀社長がJと佐賀県が推薦する井川氏か、一部株主が推薦する井上氏のどちらを選択すべきか迷っているというのが真相ではないだろうか。

 両者が同一の土俵に載っているのであれば、選手育成、地域密着、健全経営などを基準にそれぞれの考えや財務状況を確認し判断すべきであるが、現状では同一の土俵に載っているとは言えない。

 井川氏は、@Jリーグや佐賀県の推薦(賛同)を受けていること、A投資目的がスポーツ分野へのビジネス拡大と明確であること、B身の丈に合った経営をし、佐賀で徐々にサッカー人口を増やしていきたいとコメントしていること、C新会社を受け皿とする営業譲渡を提案しており、チームは残るが株式会社サガン鳥栖は消滅することになること。

 井上氏は、@現取締役の呼びかけに応じて社長候補として手を挙げたこと、A投資目的が義理人情であること、Bチーム運営に関するコメントがないこと、C95%減資を提案しており、実質的には営業譲渡や100%減資と同じ様に経営権の譲渡であること、D鈴木チァマンが反対し脱会勧告もありえるとコメントしていること。

 12月5日の臨時株主総会で判断されるのは、井上氏ら4人の取締役選任のみであるが、推薦人代表が主張するように選任された井上氏らが営業譲渡交渉に取り組むとは思えないし、井川氏らも営業譲渡交渉を継続するとは思えない。

 また、井上氏らが選任されなかった場合、現取締役相手では営業譲渡交渉が進展するとは思えない。誰かが井川氏と現取締役の仲介役をかって出る必要がありそうである。古賀社長から信頼され、サガン鳥栖の財務に精通した人が交渉に立つべきだと思っている。


 メッセージ 16.11.26

 11月26日の佐賀新聞他に「サッカー日本代表 高橋(サガン)U-19候補に」との見出しで、サガン鳥栖のMF高橋義稀(19)ら32名が選出されたことが報道された。サガン鳥栖からの代表候補は初めてであり、最終戦の楽しみが増えた。

 一方、古賀社長は、25日に記者会見し、県が来季以降の経営を要請している「クリーク・アンド・リバー社」の井川幸広社長から条件付で経営譲渡を提案されたことを明らかにしたと報道されていた。

 ところで、11月26日、佐賀県のホームページに@井川社長から古川知事宛てのメッセージ、A佐賀県知事から株式会社サガン鳥栖の株主に対するメッセージ、B佐賀県知事から古賀社長への依頼(・営業譲渡の協議は現経営陣と行うこと、・具体的な手続き面の代理人(弁護士)を選任すること)が掲載された。

 また、11月26日の共同通信によると、鳥栖市の牟田秀敏市長が、J2サガン鳥栖の古賀社長に対し、県が推す会社社長との経営譲渡交渉が不調に終わった場合、鳥栖市が支援を打ち切る可能性があることを文書で通知したと報道されている。

 ここに来て、佐賀県、鳥栖市、Jリーグの足並みが揃ってきたようである。後は会社自体が同じ方向で動くか否かである。今までは現経営陣の卓越した情報管理により、Jリーグの一部や鳥栖市の協力を得られてきたが、これまでの膿みを出す時が来たようである。

 サガン鳥栖は、「人づくり」「まちづくり」「夢づくり」の基本理念の下で、「地域に根ざしたプロサッカーチーム」を目指してきたが、たとえ、営業譲渡されたとしても継続していただきたいと思う。運営会社の資本構成がどうであれ、やり方次第で市民球団として運営できると信じている。

 井川社長から古川知事宛てのメッセージは、現時点では最高のメッセージと感じている。関係者の意見を全て取り入れることは困難であるが、チームを支える仲間、ファミリーとして元株主やサポーターを受け入れていただければありがたい。

 これから、まだ多くの難関が予想されるが、明日の最終戦は、それを忘れてチームを応援したい。


 最低譲渡価額と臨時株主総会 16.11.28

 11月26日に発表された井川社長から古川知事宛てのメッセージの中にサガン鳥栖の経営を引き受ける条件として、新たに設立する会社が株式会社サガン鳥栖から営業権を引き継ぐことが発表されている。

 既存会社(株式会社サガン鳥栖)の過去のリスクを負わないために、「営業権譲渡」による経営引継ぎの方法を提案されたようである。さらに、早急に交渉に入る準備を整えている旨表明されている。

 したがって、営業権譲渡の対価が零ということではないようである。では、いくらかというと、交渉次第であるが経営引継ぎをお願いする立場から最低譲渡価額を考えてみたい。

 ところで、サガン鳥栖がチーム設立時から課題となっていた財政基盤の確立に失敗した理由は、人を得なかったことも大きな理由であるが、前身チームである鳥栖フユーチャーズの解散(清算)により、多くの出資者、取引先に迷惑をかけたことが、より大きな原因だったと思っている。

 したがって、株主の出資金が零になることはやむを得ないが、取引先等に対する負債(未払金)は残して欲しくない。平成16年1月末の負債総額から現金・預金・未収金を差し引くと2,000万円程度であるが、今季の収支によっては負債が大幅に増加していることも考えられる。

 現在のサガン鳥栖にとっては、早急に今季の収支見込と期末における財産債務(見込み)を基に営業権譲渡の交渉を開始すべきである。12月5日開催の臨時株主総会の結果を待って交渉準備するのでは遅いし、経営者であるなら、今季だけでなく来季の見込みも現時点で作成しているのが普通である。

 12月5日の臨時株主総会の開催は、社長候補に手を挙げていただいた井上氏に対する礼儀だと思っている。現状は、井川社長が設立する会社への営業権譲渡が大きな流れになっていることから、井上氏らの取締役就任は困難と思われるが、株主は臨時株主総会に出席し賛否を明らかにする義務があると思っている。

 したがって、株主の皆様には、棄権することなく臨時株主総会に出席していただきたいし、出席できない方は信頼される株主に賛否を記入して委任状を渡していただきたい。間違っても白紙委任状を郵送することはやめていただきたいと思っている。


  臨時株主総会で決まったこと 16.12.11

  12月5日に開催された臨時株主総会決まったことは何もなかった。1930個(78.45%)の株主が出席(委任状を含む。)して開催され、井上氏ら4人の取締役選任案が

否決(賛成440個、反対1440個、棄権50個)されただけであった。

 しかし、総会終了後に株主有志が準備した営業権譲渡推進の要請文(井川氏、古賀氏宛て)に当日会場に駆けつけた株主(44人)が署名し、さらに、会社の記者会見後に株主有志の代表(3人)が株主総会の状況報告と営業権譲渡を支持する旨の記者会見を行った。

 【賛成多数(株主提案)で議事審理の間、マスコミに退席を求めた。要請文は、井川氏には県を通じて、古賀氏には会場にて手渡された。】

 このことから、当日会場に駆けつけた株主の大多数が今のサガン鳥栖の現状を改善することは現在の経営陣や株主の力だけではできないのであるから、井川氏が設立する新会社にサガン鳥栖の営業権を譲渡することはやむ得ないと判断していると思われた。

 一方、会社側は、総会での質問に@営業権譲渡の交渉を弁護士に依頼すること、A臨時株主総会を開催し会社が営業権譲渡を提案したいと答弁している。(前回の意見交換会では株主から営業権譲渡を提案してもらうと説明しており、営業権の譲渡交渉を誰がするのか、営業権譲渡契約書に誰が署名するのか不明であった。)

 12月10日のNHK佐賀で「サガン鳥栖の未来を語る」という討論が報道された。スタジアムのピッチが見える場所での中継に感動した。サポーターとしては、新たな情報や経営問題等に踏み込まない(踏み込めない)討論でやや消化不良ではあるが、一般の人々にサガン鳥栖を理解していただけたのであれば一つのきっかけになると思っている。

 12月11日の佐賀新聞に井川氏のインタビュー記事が「サガン鳥栖経営会社 佐賀市にも事務所 登記、年内にも許可見込み」との見出しで報道されている。その中で井川氏は「身の丈にあった経営を」と表明されており、現在の経営規模が大幅に拡大するということにはならないかもしれないが、堅実な運営をお願いしたいと思っている。

 心配なのは、会社設立が年内ということは、営業権譲渡の交渉はできるにしても契約締結は新会社設立後となり、さらに、開催通知期間を考えると1月中旬の臨時株主総会で承認を受けて契約が実行されることになる。

 その間に、監督・選手との契約、ユニホームスポンサーとの契約、看板等の契約、年間シートの販売、キャンプ地等の決定があり、現経営陣に任せることはできないので、事務レベルの人材派遣を早急にお願いすべきだと思っている。

 ※ PCトラブルのため書き込みが遅れたことをお詫び申し上げます。


 会社からのたより 16.12.14

  12月14日株式会社サガン鳥栖から株主宛ての2通の文書と古川知事からの株主に対する文書(16.11.26付)、株式会社クリーク・アンド・リバー社の代表取締役井川幸広氏から古川知事宛の文書(16.11.26付)、12月5日付の株主から井川氏及び古賀氏に対する営業譲渡契約の推進依頼文(5枚)が同封されていた。

 情報提供としてありがたいことであるが、何か欠けていると感じた株主も多かったと思う。それは、12月5日に開催した臨時株主総会の結果であり、議事の中で株主が質問した事項について説明があるべきで、いきなり井川氏らが設立する新会社への営業譲渡では理解に苦しむ株主も多かったと思われる。

 株式会社サガン鳥栖からの提案として、井川氏に前経営者時代の短期借入金(1,700万円)と出資金12,300万円の全額保障を求めたいとの意向を表明されているが、数ヶ月前まで100%減資を主張していた現経営陣の提案とも思えない内容に唖然としてしまった。

 12月5日の臨時株主総会で否決はされたが、株主推薦の取締役候補として立候補した井上氏らは95%減資を主張されていた。会社提案の理由として、地域リーグから始めてJFLからJリーグへの昇格に必要となる費用を考えれば、同額以上の出費が必要だからと主張されている。

 しかし、それは新たにチームを立ち上げ、ホームタウンとして地元自治体や地域の支援を受ける時間と費用も含まれており、ホームタウンやホームスタジアムを他の地域に移転するとの前提での営業権譲渡であれは別であるが、比較することはできないと思う。

 株主としては、未払いで取引先等に迷惑をかけることがあってはいけないと思っている。その上で、チームの存在自体を評価していただけるのであればありがたいと思っている。

 新会社にしても運転資金が運営規模が3億円で5千万円、5億円で1億円が必要と想定され、チームの強化を考えると、資本金2億円では不安な状態である。その資本金を大幅に減額するような今回の会社提案(要求)は株主として不本意である。

 同提案に対し、Jリーグの鈴木チァマンは両方の代理人(弁護士)で話しをして欲しいと回答しており、100%減資案に95%の株主が同意した現実を踏まえれば5%でも10%でも評価していただけるのであればありがたいし、その金額が負債支払いに消えて、株主への返金(配当)がないとしてもチームが残った喜びには代えられないと思っている。


 開幕戦2万人 16.12.18

  佐賀新聞(12月15日)に井川氏と松本監督との会談が12月14日東京都内で初めて行われたと報道されている。また、佐賀新聞(12月17日)に12月16日に行われたJリーグ合同トライアウトに前サガン選手10名が参加するとともに、松本監督が出席したと報道されている。

 新チームの体制づくりが着々と進んでいるようであるが、一方の株式会社サガン鳥栖の引継体制が見えないままである。出資金の保証を求めた現経営陣が何を考えているのか不明であるが、株主訴訟を恐れての要求ではないかと思われる。

 営業権譲渡の対価は交渉ごとではあるが、株主総会の特別決議による承認が必要である。株主総会において対価に不満がある株主に現経営陣は出資金の保証を求めたが、営業権譲渡を要望している株主の声を無視できなかったと説明するためではないだろうか。

 そう考えると結論は見えていると思うのだが、臨時株主総会の招集通知が来るまでは安心できない。

 ところで、井川氏と松本監督との会談で「開幕戦2万人目指す」との目標が明らかにされている。すでに具体策の検討に入っているとのことであるが、集客方法だけでなく、駐車場の確保やセキュリティー対策も併せてお願いしたい。

 開幕戦であるから、試合開始前やハーフタイムのイベントは考えられていると思うが、セキュリティー面では試合終了後に観客の足を5分でも止めるイベントが必要ではないだろうか。


 サガン鳥栖情報 16.12.23

 佐賀新聞(12月22日)に「サガンホームで福岡戦」との見出しでJリーグの来季日程概要が報道されている。その中で「J2サガン鳥栖はホーム・鳥栖スタジアムでの開幕戦でアビスパ福岡と対戦する。」とある。開幕戦は3月5日(土)ということであるが、1月下旬に日程の詳細が発表されるとのことである。

 例年、開幕戦も土日にまたがって開催されていることから、3月6日(日)という可能性もあるのではないだろうか。私としては、デーマッチは日曜日、ナイターは土曜日の開催を希望している。

 また、新会社が企画している開幕戦2万人も日曜日開催(デーマッチ)の方が集客、駐車場確保、ボランティア(アルバイト)の確保ができるのではないだろうか。デーマッチは一般市民や子供たちを中心に、ナイターは官庁や会社関係の人々を中心に観戦して欲しいと思っている。

 開幕戦がアビスパ福岡ということで開幕戦の集客には好都合であるが、次の目玉になる試合が難しいと思われる。後は、記念日(母の日、父の日、子供の日、敬老の日)や町の日(鳥栖市は校区別、他は市町村別)を設けて集客することも検討すべきである。

 同じ佐賀新聞(12月22日)に「Jリーグ反則金 サガンは80万円」との見出しで反則ポイントによる反則金が報道されている。サガン鳥栖は12チーム中3番目に多い反則ポイント162、反則金80万円で昨年から60ポイント70万円減ったとある。

 反則も成績に比例するようではるが、やむ得ない反則は別にして審判への抗議や報復で反則をもらうことのないよう選手たちにお願いしたい。

 佐賀新聞(12月23日)に「来季は28選手で」との見出しで松本育夫監督のインタビュー記事が出ている。15人の選手を補強の予定で、入団に向けてほぼ合意に達しているとのことである。攻撃と守備専属のコーチを置くなど指導体制を強化するとのことである。

 チームは1月10日の初練習(鳥栖スタジアム)、1月25日から島原市で一次キャンプ、2月20日から宮崎県で二次キャンプをすることを明らかにしている。これで松本育夫監督の続投(未発表)、コーチ陣の刷新(予定)、選手の補強(未発表)、来季のキャンプ日程、開幕戦日程が明らかになってきたが、重要なことが未だに決定されていない。

 それは、サガン鳥栖の運営会社である株主会社サガン鳥栖から井川氏が主宰する新会社への営業権の譲渡問題である。クリスマスプレゼントとして発表されるのかもしれないが、1月中旬に臨時株主総会を開催し、特別決議により営業権譲渡契約の承認を得て、Jリーグ理事会の承認を得なければ、新会社は稼動できない。

 12月5日の臨時株主総会において、弁護士を立てて営業権譲渡交渉を行うと約束され、1月中旬に臨時株主総会を開催すると新聞発表されているにもかかわらず、年内に何らかの発表がなければ、現取締役に対する経営責任論も浮上するのではないだろうか


 営業権譲渡交渉 16.12.25

 12月5日の株主会社サガン鳥栖の臨時株主総会で株主が示した判断は、J2リーグサガン鳥栖の継続であり、株式会社サガン鳥栖の継続とか株主としての地位保全ではない。

 それは、株式会社サガン鳥栖は残るかもしてないが、J2リーグから脱退勧告又は除名される危険があった一部株主提案による取締役候補選任案を否決(賛成440個、反対1440個、棄権50個)し、総会終了後に出席者の大多数が署名した営業権譲渡推進の要請文(井川氏、古賀氏宛て)や株主有志の代表(3人)が営業権譲渡を支持する旨の記者会見を行ったことからも明らかである。

 しかるに、臨時株主総会終了後(12月14日)株式会社サガン鳥栖から株主宛てに送られてきた文書に「井川氏に前経営者時代の短期借入金(1,700万円)と出資金12,300万円の全額保障を求めたい。」とあった。

 営業権譲渡の対価として現経営陣が示した金額であるが、J2リーグ最低の観客数や過去最低の広告料収入しかないチームの営業権として妥当であるかどうかは考えるまでもないと思われる。

 営業権譲渡を推進して欲しい株主の意に反した提案であるとしか言えない。また、チームの存続自体を否定しかねない提案に株主として困惑している。営業権譲渡契約が速やかに締結され、臨時株主総会での承認後、Jリーグ理事会で承認され、2月1日から新会社の下でチームが運営されることを望んでいる。

 営業権譲渡の対価は、会社提案の14,000万円は高すぎるので、J2リーグ加盟料の2,000万円をベースに考えるべきだと思っている。また、株主会社サガン鳥栖の清算が円滑に実施できる金額とすべきであるが、株式会社サガン鳥栖は欠損会社であり、株主が分配(配当)を求めることは論外だと思っている。


 2月1日にこだわる理由 16.12.26

 2月1日の営業権譲渡にこだわる理由について述べたい。

 理論的には、シーズン途中であっても営業権を譲渡することは可能と思われるが、実務的には@株式会社サガン鳥栖の決算期が1月31日までであることから、会社の資産負債状況が把握しやすいこと、A監督や選手との契約期間が1月31日までであることから、譲り受け会社が監督や選手と新規に交渉して契約することが可能なことから2月1日がベターではないだろうか。

 さらに、来季の開幕戦が3月5日であることを考えると、チケットの販売契約、ユニホームスポンサー契約、アウエーへの旅行契約などは譲り受け会社が行うべきであり、監督・選手との契約、クラブサガン(年間シート)の販売、ファンクラブの会員募集、ポスターの製作、キャンプの実施などは、2月1日以前であっても譲り受け会社が関与して実施すべきである。

 昨年の株式会社ヴィッセル神戸から株式会社クリムゾンフットボールクラブ(代表者三木谷浩志)へ営業権を譲渡した経緯を紹介したい。

 平成15年12月15日民事再生手続き開始申し立て(入札開始)→平成15年12月19日裁判所による民事再生開始決定→平成16年1月5日営業譲渡先決定の為の入札期限→平成16年1月14日営業譲渡契約締結・裁判所に許可申請→1月中旬、裁判所による債権者・従業員への意見聴収→平成16年1月20日@営業権譲渡に関する裁判所の許可、AJリーグ理事会承認→平成16年2月1日営業権譲渡の実行

 これをサガン鳥栖と比較すると民事再生法による裁判所の許可のかわりに株主総会での特別決議による承認が必要なことである。14日前に臨時株主総会の招集通知を発送する必要があり、さらに、議案として提案するためにはそれ以前に営業権譲渡契約書(停止条件付)を締結し、取締役会で議案として承認を得る必要がある。

 さらに、これを株主提案とする場合(古賀社長は一旦は会社提案に同意されたが、また、株主提案に変更されている。)には、提案理由と株主の署名が必要であり、早くとも20日、1ヶ月程度が必要と思われる。

 もし、2月1日の営業権譲渡が実現しない場合は、営業権譲渡ではなく株式会社サガン鳥栖を買収してもらうしか方法はないのではないだろうか。株主が営業権譲渡を株主総会で否決したのであれば、Jリーグからどのような処分をされようと文句は言えないが、現経営陣の保身のためにチームの存続が危機にさらされることは許されないことである。


  財政基盤の確立 16.12.31

  12月31日の佐賀新聞に「2004さが喜怒哀楽」との見出しで県内ニュースのダイジェストが掲載されている。「スポーツ」欄の32記事のうちの半分16記事がサガン鳥栖の記事である。喜ぶべきであるかもしれないが記事を読み返すとこの1年が何だったのか、松本育夫監督就任によりチームは生まれ変わったが、運営会社は未だに再生できないでいる。

 1997年2月サガン鳥栖が誕生して8年を経過しようとしている。サガン鳥栖は、佐賀県サッカー協会メンバーを中心に前身チームである鳥栖フユーチャーズを誘致をした人々、応援していた人々により立ち上げられた。

 ところが、J2加盟の条件であった運営会社(株式会社)の設立により運営体制が強化されるとの期待に反し、会社経営の経験がない人々で運営する運営会社はクラブチーム的な経営で自転車操業を余儀なくされた。

 新たな人が会社経営に参加しクラブチームから株式会社への転換を図ろうとしたが、強引な手法にサポーターなど関係者からの反発により挫折し、登場したのが現経営陣である。

 この8年間を振り返ると、不況の中ということもあり各経営陣が経費節減に走り、財政基盤の確立のためのプランがなかったことが大きな問題点ではないだろうか。株式会社への転換のため「クラブサガン会員」をチーム支える会員から年間シート会員へ変更したが、新たな増収策が見えなかった。

 また、現経営陣の「1万円募金で1億円」というアイデアはあったが、思いつき的発表で実施要領も後だしで財政基盤の確立のために練られた企画とは言えず1回で終了してしまった。

 財政基盤の確立は、地域密着の運営により観客を動員し、それによりチームが広告媒体として評価されることにより広告収入の増加も期待できるのである。基本は入場料収入であるが、営業体制を強化すれば入場料と同じ金額の広告収入を得ることができると思う。

 過去のデータを見ると、最も理想的なバランスは平成12年度で100対93であるが、最悪は平成15年度(昨年度)の100対24である。平成16年度は不明であるが鳥栖市のユニホームスポンサー料等で昨年度より多少アップしているかもしれない。

 現経営陣のアイデアである「1万円募金で1億円」も企画次第では大きな力になりと思われる。金額の見直し、ターゲットの見直し、情報等の付加価値、主幹の変更により安定した収入源にはなると思われる。

 来季の運営会社は不透明である。営業権譲渡の交渉に関する発表もなく、来年1月中旬に開催するとされていた臨時株主総会の召集通知も来ない状況である。

 現経営陣はサガンドリームス側に株主の権利を擁護するかのような提案をしているが、本当に株主の真意を知っているのであろうか。それはチームの存続である。来季もサガン鳥栖は存続するとの反論もあると思うが、その先が問題である。

 この8年間財政基盤が確立できず苦しんだチームにJリーグ、佐賀県、鳥栖市が認めた人が支援の手を差し延べている。これを現経営陣や一部株主の損得勘定で拒否することになれば、今後、誰が経営者になっても地元の支援を受けることはできないであろう。

 来年の新聞が楽しいサガン鳥栖の話題で一杯になることを夢見たい。 


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