サンド



作法と行事


(知らなかった①)




浄土真宗必携  223ページ~     (本願寺出版社)




  一一のはなのなかよりは
  三十六百千億の
  光明てらしてほがらかに
  いたらぬところはさらになし

             (浄土和讃)




    
 


   作   法



     合掌の心


 ○ 如来さまへのごあいさつは、合掌に
    はじまり合掌でおわります。


 ○ 礼拝は祈ることではなく、仏徳への感謝と
    讃嘆ですから、「お礼をする」ともいいます。

    力まず自然な気持ちで、しかも怠りなく
     つづけましょう。





     念   珠


 ○ 念珠は、仏前に礼拝するときにかける
    法具です。

 ○ 念珠は大切な法具ですから、ていねいに
    取り扱ってください。

   投げたり、畳の上に直接おいたりしないように
    したいものです。

 ○ 家族のひとりひとりが、かならず念珠を
    もちましょう。


 ○ 念珠は自分にふさわしいものにしましょう。
  
   服装やほかの持ちものにくらべて、あまり
    粗末でない品をえらぶことが大切です。


 ○ 念珠のもちかた

    合掌のときは両手にかけて、ふさを下に
    たらし、親ゆびでかるくおさえます。

    合掌しないときは、左手にもちます。




     合掌・礼拝のしかた


 ○ 両手を胸の前に合わせて、
    指をそろえて約四十五度上方に
    のばし、念珠をかけて親ゆびでかるく
    おさえます。


 ○ 肩、ひじをはらず自然に、目は御本尊の
    方にむけ、そして静かに念仏します。

    念仏は、「南無阿弥陀仏」と数回
    となえます。


 ○ 礼拝は、合掌したまま上体を約四十五度
    かたむけてお礼をし、上体をおこしてから
    合掌をときます。




     焼香の作法


 ○ 立って行う場合、焼香卓の二,三歩てまえで
    御本尊に一礼し、

    進んで香を右手でつまんで、
    いただかずに香炉のなかに一回入れ、
    合掌・念仏・礼拝し、

    二、三歩さがり
    一礼して退出します。


 ○ 焼香のとき、導師の前を通るときは
    一礼します。


 ○ すわって行う場合もおおむね右に
    準じます。


 ○ 焼香のときの注意

    ・ 香をたくまえには合掌しない
    ・ 香を、おしいただかない
    ・ 香をたくのは、一回でよい
    ・ 焼香のとき、りんをたたかない。




     仏   壇


        仏壇を安置するわけ


 ○ 仏壇とは、迷える私たちをお救いくださる
    阿弥陀如来さまをご安置するために置くもので、
    最も尊厳な場所であり、家庭生活の
    中心となるものです。

    
 ○ うちには亡くなった人がいないから、仏壇は
    まだいらないと考える人がいますが、
    とんでもないまちがいです。

    仏壇は、死者や位牌のためのものではありません。
    日々を生きる力のもとである如来さまのお慈悲に、
    私があう場所なのです。
    

 ○ 仏前に家族そろっておまいりして、謙虚に如来さまの
    大悲を仰ぐ家庭こそ、本当に幸せな家庭と
    いえるでしょう。



       仏壇を安置することについて


 ○ 仏壇はそまつにならないで、しかも
    みんなに親しみやすいところに
    おきましょう。


 ○ 仏壇をもとめることについて、さまざまな
    迷信や誤解があるようですが、そんな
    ことにとらわれないようにしましょう。

    新たに仏壇をもとめることは、家庭に
    心のともしびがともるめでたいことです。

     そのときにはご住職に相談して、入仏式
     (入仏法要)をおつとめいたしましょう。


 ○ 新夫婦が別な場所で世帯を持つ場合は
    仏壇を、それができぬ場合は御本尊と  
    「浄土真宗聖典」およびこの「浄土真宗必携」
    だけでももたせ、その地のお寺や別院で
    教えを聞くよう、すすめたいものです。




  

     御本尊と脇掛

 ○ 浄土真宗のご本尊は阿弥陀如来です。
    この阿弥陀如来を、親鸞聖人は、
    南無阿弥陀仏(六字名号)とも
    南無不可思議光如来(九字名号)とも
    帰命尽十方無碍光如来(十字名号)とも
    示されました。

 ○ 掛け方は、ご本尊を中央に、
    向かって右側に十字名号、
    左側に九字名号を掛けます。

    または、中央にご本尊、右側に親鸞聖人の
    ご影、左側に蓮如上人のご影を掛けます。
  

 ○ 絵像と名号は、本山・参拝部の法物係に、
    それぞれの冥加金をそえて申し出れば
    交附されます。
    また、ご住職に相談すれば、取り次いで
    もらえます。

 ○ 仏壇には、他宗のお札、お守りなどは
    置きません。




     荘   厳 (しょうごん)


       荘厳のしかた


 ○ お荘厳というのは御本尊を中心とした
    いろいろの「おかざり」のことです。


 ○ 仏壇の中の仏具などの名称と、その配置は
    御住職に相談ください。



       五 具 足 (ごぐそく)


 ○ 花瓶一対、ろうそく立一対、香炉一の
    五点でかざるのを五具足といいます。


 ○ 足の三本あるものは、その一本が
    てまえにくるようにおき、耳のあるものは
    正しく左右にむけます。


 ○ 報恩講、年忌、新年、盆など、あらたまった
    場合に五具足を用い、ふだんは三具足に
    しておきます。




       三 具 足 (みつぐそく)


 ○ 五具足のうち花瓶一、ろうそく立一、
    の二点をはぶいたものを三具足といいます。



       四 具 足 (しぐそく)


 ○ 仏壇の上段に上卓のあるものは、
    四具足を置きます。

 ○ 四具足の華瓶には、樒など青木の
    ものをもちい、色花はさしません。




       打敷・水引


 ○ 仏事などの特別のときにかけるもので、
    ふだんはしまっておくならわしです。


 ○ 冬・合用と夏用があります。


 ○ 色を使いわけることは家庭ではむりかも
    しれませんが、よろこびのときや一般の
    仏事には色ものや金色の系統のもの、
    悲しみのときには白や銀色のものをつか   
    います。




       お花の供えかた

 ○ 前卓の花瓶の花は、四季それぞれに
    適当なものを供えますが、毒花やとげの
    あるもの、悪臭のあるものはさしひかえます。

    造花はつかいません。


 ○ 葬式、中陰など、悲しみのときには、赤い
    色の花はさけます。




       香


 ○ 香は、インドに起源をもつ礼拝の要具で、
    塗香、割香、抹香、線香などがあります。


 ○ 線香は立てずに、みじかく折って横にして
    たきます。

    本数に規定はありません。

    香は、かおりに価値があるのですから、
    いやなにおいのものはさけて、良質の
    香をたいてください。


 ○ 抹香や割香などは、香炉にあらかじめ、
    炭火を入れておき、焼香のときたきます。




       仏   飯


 ○ お仏飯は、毎朝お供えします。

    下げるのは昼まえにするのが原則ですが、
    朝のうちに下げて、暖かいのをいただいても
    かまいません。


 ○ 水やお茶は供えません。




 

       供   物


 ○ 日常はお仏飯だけを供えますが、
    報恩講など仏事のときは、打敷をかけ
    お供物を供えます。


 ○ 中央に近いところに、もち、両側に菓子、
    果物の順に、それぞれ対にして供えます。


 ○ 魚、肉のたぐいやお酒は供えません。




       仏壇の掃除


 ○ 仏壇は欠かさず掃除いたしましょう。

    羽ぼうきでかるくほこりをとり、花瓶の
    水をかえたり、花をさしかえたりします。


 ○ 金箔のところは手を触れたり拭いたり
    しないように気をつけます。


 ○ 報恩講・新年・彼岸・盆・年忌法要などの
    ときに、とくに入念な掃除をし、仏具を
    みがき、香炉の灰をきれいにします。





   行   事



     家庭の行事


       家   庭


 ○ 家庭は人間が和合し、安らぐために
    最も大切なところですが、その中心は
    御本尊です。


 ○ 家庭はこどもの心を育てるには最も
    大切な場所です。

    とくに人間の心が失われつつある時に、
    朝夕の仏参がこどもの人格形成に実に
    大きな役割を持つことを、改めて考えたい
    ものです。


 ○ 朝夕のお参りは欠かさずいたしましょう。

    そして事情の許すかぎり家族そろって
    おつとめをし、如来さまへ朝夕のあいさつ
    をします。


 ○ 花をかえたり、お仏飯をあげたりすることを
    お給仕といいますが、こどものいる家庭では、
    その年齢に応じてこどもにお給仕を
    させましょう。

    それが教えを「身につける」もとになるのです。




 

       朝夕の勤行


 ○ 口をすすぎ、手を洗い、衣服をととのえて
    仏前にでます。


 ○ 灯明をあげ、香をたき、仏飯を供え(夜は
    供えない)、合掌・礼拝して勤行を
    はじめます。


 ○ おわりに合掌・礼拝し、灯明を消して
    退席します。


 ○ 勤行は、正信偈と和讃六首ずつを繰り
    読みし、御文章を拝読、領解文を唱和
    するのが正式ですが、ときに応じて左の
    いずれかを組み合わせてつとめても
    かまいません。

    これらはいずれも、「浄土真宗聖典」に
    のせてあります。

   勤  行      拝   読    唱  和
  正信偈・和讃    御 文 章   領 解 文
  讃 仏 偈     
  重 誓 偈    浄土真宗の法語  生活信条
  意訳勤行
  和訳正信偈   まことのことば   仏教讃歌
  十 二 礼




       食   事


 ○ 食事のはじめに合掌し、「食前のことば」を
    唱えます。

    食事がすんだら合掌し、「食後のことば」を
     唱えます。(浄土真宗聖典・194頁参照)
  

 ○ 食前・食後の合掌は毎日のことであるだけに、
    感謝の心を養うために大きな働きをいたします。

    家庭の情操教育はこんなところに
    あるようです。


 ○ どんなに忙しくても、合掌と「いただきます」
    「ご馳走さま」と礼拝だけは忘れぬように
    したいものです。




       毎月の行事


 ○ 毎月十六日は、親鸞聖人のご命日に
    あたるので、家族そろって仏前にお参り
    し、その日は精進料理にして生命の尊さと
    宗祖のご恩を思うのが真宗門徒の伝統です。


 ○ 月々の故人の命日を月忌といいます。
    
    この日はお寺からお参りされる習慣のところも  
    あります。
    できるだけ都合をつけて、家族いっしょに
    勤行をしましょう。




       一年の行事


 ○ 一年のうちに報恩講・元旦会・彼岸・
    宗祖降誕会など、いろいろの行事が
    ありますが、次の「お寺での行事」を
    よく読んで、家庭でもお荘厳をして、
    お勤めをしましょう。

     なお、家庭での報恩講と元旦会について
    述べておきます。


 ○ 報恩講はもっとも大切な仏事であります
    から、掃除もおみがきも入念にし、
    荘厳は最高のものにします。

    お年寄りからこどもに至るまで、できれば
    ご縁のある人を招いて、正信偈をいっしょに
    おつとめし、法話を聞きます。

    そのあとお斎をされるところもあります。

    食事の習慣はすたれつつありますが、
    せめて年に一度は心のこもった食事の  
    なかで仏縁を結びたいものです。

    世の中が忙しくなって、すべてが
    能率的で簡略になっていますが、
    それでは人の心が育ちません。


 ○ 一年の計は元旦にあります。

    家族そろって御本尊にお礼をし、
    新年のごあいさつをします。

    仏壇の荘厳は、打敷をかけ、
    鏡もちをお供えし、花は松の真に
    花をさします。

    三が日が終わったら平常の荘厳に
    もどします。




     お寺での行事


       聞法のこころえ


 ○ 浄土真宗は聞法がを第一としますから、
    教えを聞くということがもっとも大切で、
    

 ○ 多忙な毎日ですが、一大事を聞くの
    ですから、お寺で法座があるときは
    時間をさいて、聴聞しましょう。


 ○ お参りするまえには、できるだけ体調を
    ととのえておきましょう。

    せっかくお参りしても、体が苦しくて聞け
    なかったり、いねむりするようでは
    おしいからです。


 ○ 念珠、聖典、門徒式章などを忘れぬよう  
    持参しましょう。


 ○ 勤行に唱和しましょう。

    しぜんに聞法の心がととのえられます。


 ○ できるだけ講師の近くで、しかも正面に
    すわり、講師の顔をみつめて聞きましょう。

    たとえ話や因縁話ばかりを聞くのではなく、
    仏法の要、南無阿弥陀仏のいわれを
    聞くのです。


 ○ たばこなどは、法話中はもちろん遠慮します。
 
 ○ 休憩のときや帰りの道中で、おたがいに味わった
    ところを語り合いましょう。


 ○ 初めて参られた方があったら、やさしく
    声をかけ笑顔で迎えてあげてください。




 

       元 旦 会


 ○ 新年を祝うとともに、真実の教えに
    生かされる身のしあわせをよろこび、
    念仏もろともに報恩の生活の第一歩を  
    ふみだす法要です。


 ○ 年のはじめに御仏前にお礼をし、
    心を新たにするのは、意義深いことです。




       御正忌報恩講 ごしょうきほうおんこう)


 ○ 親鸞聖人のご命日(一月十六日)に
    あたって、聖人のご苦労をしのびつつ、
    未信の人は如来の本願を聞きひらき、
    獲信の人は味わいをふかめさせていただく、
    真宗門徒にとっていちばん大切な法座です。

    
 ○ 年中でもっとも寒い季節ですが、身の引き
    しまる寒さのなかで、ともに勤行し、法話を
    聴聞し、親鸞聖人のご一生をつづった
    御伝鈔を拝聴します。




       彼 岸 会 (ひがんえ)


 ○ 彼岸とは仏の国の意で、彼岸会とは、迷いの
    この岸をはなれて、さとりの彼の国にいたることを 
    願う法要です。

    春秋の二季、春分、秋分の日を中心に 
     行われる法座です。


 ○ 年中でもっともよい季節に、自分の生活を
    省み、如来さまのご恩を謝し、本願の船に
    のせられてさとりの彼の岸にいたる身の
    しあわせをよろこぶのです。




       花まつり


 ○ 四月八日、釈尊の降誕を祝うたのしい
    行事です。


 ○ 花御堂のなかに誕生仏を安置し、参詣者は
    この像に甘茶をそそいでお参りします。


 ○ 「教主世尊は弥陀仏の誓い説かんと生れ
    たもう」(しんじんのうた)と、親鸞聖人が
    たたえておられるように、釈尊の出現が
    あってこそ真実の経典が説かれたのです
    から、心からお祝いしたいものです。

 
 ○ 釈尊に関する記念日としては、このほかに
    さとりをひらかれた日を記念する成道会
    (十二月八日)、ご入滅の日の涅槃会
    (二月十五日)があります。





       宗祖降誕会 (しゅうそごうたんえ)


 ○ 五月二十一日、親鸞聖人のご誕生日を
    お祝いする行事です。

    聖人は承安三年(1173)のこの日、
    京都の日野でお生まれになりました。


 ○ 聖人のご誕生があったればこそ、
    わたくしたちが本願を聞くことができるの
    ですから、そのご恩をよろこびながら
     つとめます。
    
     お寺によって、いろいろ趣向をこらした
     慶祝の行事がもよおされますので、
     参加しましょう。




       盆   会 (ぼんえ)


 ○ 盆会には、なくなった人を追慕し、報恩の
    おもいのなかに、家族ぐるみでまことの
    み教えを聞きましょう。

    それが、親も子も祖先もともに迷いから
    救われて、まことのよろこびを得る道です。

    供養するためにではなく、報恩の意味で
    盆の行事をつとめさせていただきます。


 ○ わたくしたちの盆は、礼拝と聴聞を
    大切にします。

    家庭の仏壇だけでなく、必ずお寺に
    参詣しましょう。

    また、お墓にもおまいりしましょう。


 ○ 大体において関東では七月、関西では
    八月の十五日を中心につとめられ、
    このとき遠くはなれている家族たちも、
    故郷に帰る習慣があります。


 ○ 盆会は盂蘭盆会を略したもので、釈尊の弟子
    目連尊者の母が、仏法によって餓鬼の世界
    からすくわれたという故事からおこったと
    いわれており、歓喜会ともいいます。

    また盆おどりも、目連尊者が、その母の
    救われたことを躍りあがってよろこんだ姿に
    由来するともいわれています。




       お取りこし報恩講


 ○ 一月の御正忌報恩講には、門徒・僧侶
    ともども本山に参拝するのがたてまえなので、
    一般の寺院では取りこして一月以前に
    つとめます。

     「おとりこし」「お引きあげ」ともいわれるのは
     そのためです。


 ○ 御正忌に準じた形式でつとまり、お斎の膳が
    だされるところがあります。




       永代経法要 (えいたいきょうほうよう)


 ○ 永代経は、忌日ごとに永代読経して
    聴聞する行事で、本山では毎日行われて
    いますが、一般の寺院では年に一回ないし
    二回、法座をひらいて行われるのが通例です。


 ○ この法要は、死者に追善回向する意味
    ではなく、故人を縁として所属の寺院に   
    参詣し、故人を追慕し報恩の営みを
    するとともに、自身が聞法のご縁を
    いただきます。


 ○ 永代経のため懇志を納めますが、これは
    永代にわたって法座や諸堂の維持など
    教化活動にあてられます。




       除 夜 会 (じょやえ)


 ○ 大みそかの夜、一年の行事のしめくくりと
    してつとめられ、梵鐘のある寺では除夜の
    鐘をつきます。




    本山の主な年中行事


 一月一日      元旦会 (修正会・しゅしょうえ) 

 一月八日      大御身(おおごしん)
               (親鸞聖人御影像のお身ぬぐいをする)

 一月九日~
      十六日   御正忌報恩講

 御正忌報恩講中の日曜日  本山成人式

 三月 春分の日を
    中心に七日間  春季彼岸会

 四月八日       花まつり

 四月十三日~
       十五日   立教開宗記念法要 (春の法要) 

 四月十七日、十八日 大谷本廟永代総追悼法要ー納骨・戦没者ー

 五月二十一日     宗祖降誕会 (しゅうそごうたんえ)

 八月十四日、十五日 盂蘭盆会 (うらばんえ)十五日ー戦没者追悼法要

 九月 秋分の日を
     中心に七日間 秋季彼岸会

 十月十五,、十六日  龍谷会 (りゅうこくえ) (大谷本廟の報恩講)

十一月二十一日~
        二十三日 全国門徒総追悼法要 (秋の法要)

十二月二十日      御煤払(両堂の大掃除)

十二月三十一日     除夜会





    誕生から浄土まで


 人生の節目には、その意義をたしかにし、
人間としての自覚を深めるため、宗教による
儀式がもたれています。

しかしわたくしたち真宗門徒はそういう場合、
便宜や都合で他の宗教の儀礼を行ったり
しないよう、こころがけましょう。

仏式の行事は、ただ形だけの儀礼ではなく、
深い教えの裏づけにもとづいて、その人の
一生を意義あるものにするよう計画されて
おります。

詳細はご住職に相談してください。




       初参式 しょさんしき)(


 ○ こどもが生まれたことをよろこび、
    所属のお寺に初めてお参りして受ける
    式です。

    一ヶ月から百日目ぐらいまでの間の
    適当な時期につれて参ります。


 ○ お寺によっては、その年に生まれたこどもを
    いっしょに集めて初参式をし、みんなに
    紹介しお祝いするところもあります。




       誕生日 入学 卒業


 ○ 誕生日や入学、卒業のときには、家族で
    いっしょに仏前に参り、お祝いするとともに
    成長の思い出や将来について話しあいましょう。


 ○ 家族間の断絶をふせぎ、豊かな情操を育てる
    には、平素からこういう話しあいの積み重ねが
    大切です。





       結 婚 式


 ○ 結婚という人生の新しい門出を、二人が
    仏前に誓いあうことはすばらしいことです。


 ○ 結婚式のことを華燭の典といいますが、
    その名にふさわしく厳粛華麗な式典を
    もつことができます。




       入 門 式 (にゅうもんしき)


 ○ み教えに帰依し、真宗門徒の一員として
   その本分をつくすことを、仏前に宣誓する儀式
   で、各寺院で住職が行います。

   そして、そなえつけの門徒名簿にあなたの
   名前が記載されます。




 

       帰敬式(おかみそり・ききょうしき)


 ○ 帰敬式は、浄土真宗の門徒として、
    仏祖のまえに帰敬のこころをあらわす
    式で「おかみそり」ともいわれています。

    親鸞聖人のお得度にならって、
    ご門主さま(またはお手代わりの方)から
    「おかみそり」を受け、法名をいただきます。


 ○ 本山において行われますが、場合によっては
    他の場所で行われることもあります。


 ○ 記念に、門徒式章・念珠などをいただきます。



 

     慶讃法要 (きょうさんほうよう)


 ○ 御本尊をはじめて安置したり、新たに仏壇を
    もとめたりした場合には、よろこびの行事、
    慶讃法要をつとめます。


 ○ 慶讃法要には住職を招いて勤行をし、法話や
    お給仕の心得をききましょう。


 ○ その他、新築落成など、よろこびのときに
    慶讃法要をつとめます。




       その他の心がけ


 ○ 建築の定礎、起工、上棟なども、仏前に 
    これを報告して報恩感謝のこころから式を
    いたします。


 ○ 屋外などで行事を行う場合には、かならず
    御本尊(小型のでもよい)を安置して行う
    ことを忘れぬようにしましょう。
 

 ○ 転居するときは、お寺へその転居先を
    とどけておきましょう。

    近くでしたら引きつづき教化・仏参の連絡が
    受けられますし、遠方へ引っこした場合には、
    その地のお寺や別院を紹介してもらうことが
    できます。




       葬   儀


 ○ 深い縁に結ばれた人との、人生最後の
    厳粛な別離の儀式ですから、意義深く
    つとめます。

    わたくしたちは、ただ形式的に葬儀を
    行うのでなく、また見えにとらわれてむやみと
    華美にわたることなく、浄土真宗のみ教えに
    反しないよう行わねばなりません。

    なき方をしのび、浄土に往生させずには
    おかぬ如来の大悲を仰いで、心から念仏
    しましょう。


 ○ 葬儀にまつわりがちな迷信やまじない
    (たとえば日の吉凶、逆さ屏風、魔除け、
     守り刀、旅装束や六文銭、茶碗を割る、
     塩をまく、一本箸をさしたご飯、満中陰が
     三月にわたってはいけない、など)
    にとらわれてはなりません。


 ○ なくなられたら、仏壇に灯明を点じ香をたきます。
 
    花は樒か青木のものととりかえます。


 ○ 遺体をととのえ、顔を白布で覆い、釈尊の
    入滅にならって頭を北にするならわしがあり
     ますが、方角は家屋の都合で、決して
     こだわることはありません。


 ○ 遺体のまえには、ろうそく、お花、供物などの
    荘厳はしません。

    荘厳をする場合は、御本尊を安置します。


 ○ 関係者に知らせるとともに、急いでお寺に連絡し
    臨終勤行をお願いして、葬儀の日時をうちあわせます。


 ○ 通夜は、近親知友が集まっておつとめをし、
    故人を偲びつつ静かにすごしましょう。


 ○ 自宅から葬場へでるときは、出棺勤行をしますが、
    それはわが家の御本尊への最後のお礼ですから、
    勤行は棺の正面でなく仏壇に向かっていたします。


 ○ 式場には、かならず御本尊をお迎えします。


 ○ 勤行は御本尊に向かって行います。


 ○ 荘厳は紙華一対、香炉、ろうそく立一対
    (そうそくは銀か白)の五具足とし、打敷(銀襴か白)
    をかけ、供物は赤色をさけ、焼香卓を置きます。


 ○ 勤行はつぎのとおりですが、「浄土真宗聖典
    -勤行集ー」に収録してあります。
    しずかに唱和してください。

  出棺勤行   帰三宝偈
  葬場勤行   正信偈・和讃二首
  火屋勤行 火葬にするとき 重誓偈
  収骨勤行 遺骨を拾うとき  讃仏偈
  還骨勤行 遺骨をもちかえったとき  仏説阿弥陀経 
                         御文章(白骨章)




    

       中   陰


 ○ 命日から数えて四十九日間を中陰の期間とし、
    その間、七日目ごとに仏事をつとめ、
    四十九日を満中陰といいます。


 ○ 死亡の翌月の命日を初月忌といい、おつとめをします。
    また百カ日にも勤行をいたします。




       年忌法要(法事・仏事)


 ○ 翌年から祥月命日に行う仏事を、年忌
    または年回法要といい、つぎのように
    数えます。

    一周忌   死亡の翌年
    三回忌   死亡の年を一として数える
    七回忌   以下 上に同じ
   十三回忌   
   十七回忌
   二十五回忌
   三十三回忌
   五十回忌   以後 五十年目ごと

   また、地域によっては、二十三回忌、二十七回忌、
   三十七回忌などもつとめます。


 ○ 法事は、死者への追善供養ではありません。
    命日を縁として故人をしのび、経典をいただき仏徳
    を讃嘆し、仏恩をよろこぶ行事で、聞法を
    大切にいたします。


 ○ 法事の本質をはずして、飲食やおみやげ
    ばかりに重点がかからぬように注意しましょう。


 ○ 料理は、精進料理にいたします。

    せめてこの日だけでも生命の尊さを思い、
    仏道に精進しようという気持ちからです。


 ○ 会席での話題も、故人の思いでと、み教えを
    中心にして話し合いましょう。

    法事とは、法の行事ということですから、
    怠らずつとめましょう。


 ○ 法事の日時をきめるときは、まずご住職の
    都合をたしかめてからにしてください。




 

       墓


 ○ 墓は、死者を埋葬した目じるしとして、
    大切に扱ってきました。

    墓参りについては、それを縁として、
    如来さまの前に手を合わせ、自身が
    教えにあうことが何よりも大切です。


 ○ 墓石の正面には、「南無阿弥陀仏」の
    名号を刻みましょう。

    または、「倶会一処」とか「釈○○」などの
    法名を刻みましょう。

    他の面に、俗名、死亡年月日、年齢、
    建立者名などを刻みます。


 ○ 歴代の先祖の法名を別の石板に刻む
    こともあります。

    そのとき、「霊標」とか「霊誌」など「霊」の
    字を使わず、「○○家法名碑」などと
    刻みます。


 ○ 名号以外の文字の場合は、墓前の勤行
    のさい、御本尊を安置してつとめます。


 ○ 納骨は、土地の風習によってもちがいますが、
    満中陰(四十九日)以後に墓地に納める
    ところが多いようです。


 ○ お骨の一部を分骨して、親鸞聖人の御廟で
    ある大谷本廟に納めましょう。


 ○ 墓をつくる時期や、いわゆる墓相などに
    ついて、こだわってはなりません。

    ご住職などから正しい教えを聞き、お念仏の
    こころを依りどころに生きることが大切です。




 

    法   名


 ○ 帰敬式(おかみそり)を受けますと、ご門主
    さまから「釈○○」という法名をつけていた
    だきます。

    法名とは、法の名、つまり釈尊の弟子と
    なって信に生きるものの名です。


 ○ 帰敬式を受けていない人がなくなった場合は、
    住職が法名をつけます。


 ○ 浄土真宗では法名といい、決して戒名とは
    いいません。

    戒名とは、受戒して戒律を守っている人に
    つけられる名で、戒律をもたないわたくしたち
    ですから、戒名とはいわないのです。




    院  号


 ○ 院とは、がんらいお寺のことですが、
    そこに住居した人に、その院の名で呼んだのが
    院号でした。

    現在では、教団の護持につくした人や
    社会のために貢献した人におくられる
    敬称として、用いられています。




    過 去 帳


 ○ 人がなくなったら法名、俗名、命日等を
    過去帳に記入しておきます。

    ただし、過去帳は礼拝の対象ではありません。

    なぜなら、真実の教えを聞き、本願を信じて
    念仏するものは、浄土に生まれて阿弥陀
    如来と同じ仏となるのですから、御本尊を
    礼拝することがそのまま浄土に往生された
    方にお礼をすることになるからです。


 ○ 位牌はまつりません。

    たとえ前からあったとしても、ただそれに
    よって故人をしのび、ご恩に感謝しつつ、
    御本尊を礼拝いたします。

    位牌のなかに、死者の霊がこもっていると
    考えてはいけませんし、したがってかげ膳
    なども据えません。




    仏   旗


 ○ 仏旗は六金色旗ともいい、世界の仏教徒
    共通の旗です。


 ○ そのデザインは、涅槃経の説にもとづいて、
    アメリカの仏教徒オルコット氏がデザインした
    ものです。




    布   施


 ○ 布施は、インドのことば「ダーナ」(檀那)
    の訳語であり、施すことをいいます。

    布施する人、布施する物、受ける人の
    三つが清浄でないと、本当の意味での
    布施行にならないとされています。


 ○ 心の糧である教法を説きあかすことを法施
    といい、財物を施すのを財施といいます。


 ○ 僧侶に差し上げる包み紙に「御布施」と
    上がきするのは、財施だからです。


 ○ 原則として、本堂に持参して御本尊に
    供えるものですから、その場で差しだす
    ときは、「おことずけして失礼ですが」と
    ことわって、盆にのせ、施主(主人)が
    みずから差しだすのが作法です。

 
 ○ 金額は、施主の懇念ですから、いくらと
    いうきまりはありません。


 ○ 御布施に使う水引の色は、よろこびの
    ときは金または赤、一般のときは
    赤、悲しみのときは銀、黒または
    黄にいたします。





  浄土真宗の教章 (私の宗教)


一、宗名 浄土真宗本願寺派 (西本願寺)

一、宗祖 見真大師親鸞聖人 (1173~1262)

一、本尊 阿弥陀如来 (南無阿弥陀仏)

一、経典 浄土三部経 《仏説無量寿経(大経)
       仏説観無量寿経(観経)仏説阿弥陀経(小経)》

一、教義 南無阿弥陀仏のみ教えを信じ、必ず仏に
       ならせていただく身のしあわせを喜び、つねに
       報恩のおもいから、世のため人のために生きる。

一、宗風 宗門は同信の喜びに結ばれた人びとの同朋教団
       であって、信者はつねに言行をつつしみ、人道
       世法を守り力を合わせて、ひろく世の中にまことの
       み法をひろめるように努める。
       また、深く因果の道理をわきまえて、現世祈祷や、
       まじないを行わず、占いなどの迷信にたよらない。



   平成20年 4月~ 新しい教章にかわりました。



   浄土真宗の教章 (私の歩む道)

宗名 浄土真宗

宗 祖 (ご開山) 親鸞聖人 (しんらんしょうにん)
   ご誕生 1173年5月21日 (承安3年4月1日)
   ご往生 1263年1月16日 (弘長2年11月28日)

宗 派 浄土真宗本願寺派 (じょうどしんしゅう ほんがんじは) 

本 山 龍谷山 本願寺 (西本願寺)

本 尊 阿弥陀如来 (南無阿弥陀仏)

聖 典  ・釈迦如来が説かれた浄土三部経
     『仏説無量寿経』 『仏説観無量寿経』 『仏説阿弥陀経』
       ・宗祖親鸞聖人が著述された主な聖教
     『正信念仏偈』 (『教行信証』行巻末の偈文)
     『浄土和讃』 『高僧和讃』 『正像末和讃』
       ・中興の祖蓮如上人のお手紙
     『御文章』

教 義   阿弥陀如来の本願力によって信心をめぐまれ、念仏を申す人生を歩み、
         この世の縁が尽きるとき浄土に生まれて仏となり、迷いの世に還って
         人々を教化する。

生 活   親鸞聖人の教えにみちびかれて、阿弥陀如来の み心を聞き、
         念仏を称えつつ、つねにわが身をふりかえり、慚愧と歓喜のうちに、
         現世祈祷などにたよることなく、御恩報謝の生活を送る。

宗 門   この宗門は、親鸞聖人の教えを仰ぎ、念仏を申す人々の集う同朋教団
         であり、人々に阿弥陀如来の智慧と慈悲を伝える教団である。
         それによって、自他ともに心豊かに生きることのできる社会の実現に
         貢献する。





   浄土真宗の聖教(聖典)


 ○ 経 典
     仏説無量寿経(大無量寿経)、仏説観無量寿経、
     仏説阿弥陀経

 ○ 宗祖親鸞聖人御撰述
      顕浄土真実教行証文類(教行信証)(御本典)
      御和讃、御消息、尊号真像銘文、一念多念文意、
      唯信鈔文意、その他

 ○ 歎異抄、蓮如上人の御文章、蓮如上人御一代記聞書、
    覚如上人・存覚上人の御撰述、七高僧の御撰述、その他



           作法と行事 終わり







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ご文章・現代語 テレホン法話


掲載 妙念寺 藤本 誠

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